戦力外から一転「NPB復帰」も…藤井皓哉、中村勝に続く“出戻り候補”を探る!
新庄監督の印象に残った選手
昨年のリーグ戦を現地で見た際に、NPBの独立リーグ担当のスカウトに話を聞くと、辻について、以下のように話していた。
「ストレートのスピードについてはNPBの二軍にいる選手と比べても上回っていると思います。コントロールも決して悪くないし、自滅するようなこともない。ただ、決め球の変化球がどうかというところが気になります。追い込んでからも粘られることが多い。プロもこの年齢(今年で28歳)で獲得するなら当然、即戦力として見ますからね」
課題は口にしていたものの、スピードについて評価していることはよく分かるだろう。今年からは選手兼ディレクター補佐となったことで、NPBへの復帰というよりも指導者的な立ち位置が強くなりそうだが、150キロを超えるスピードはやはり魅力なだけに、引き続き注目していきたい選手だ。
中村も楽天での3年間は育成契約が続き、2020年オフに自由契約となったが、昨年はBCリーグ・福井でチームトップの打率.346を記録するなど、活躍している。
昨年12月に行われた12球団合同トライアウトでは3安打を放ち、日本ハムの新庄剛志監督からも印象に残った選手としてその名前を挙げている。結局、NPBからのオファーはなく、今年は、辻と同じ埼玉武蔵に移籍することとなった。高いミート力が光るだけに、結果を残し続ければ、NPBに復帰するチャンスはまだありそうだ。
上原浩治が素材の良さを絶賛
一方、独立リーグに比べて少ないが、社会人野球から復帰したというケースも過去には存在する。昨年オフに自由契約となった選手では、巨人の育成再契約を断った山下航汰が三菱重工Eastに加入して話題となったが、一足先に社会人で結果を残している選手が元ヤクルトの田川賢吾(日立製作所)だ。
ヤクルトでの8年間は故障に苦しみ一軍での登板はわずか5試合にとどまる一方、自主トレを一緒に行った上原浩治(元巨人など)からは、その素材の良さが絶賛された大型右腕である。
社会人野球1年目となった昨年はリリーフとして1年を通じて安定した投球を見せ、12月に行われた都市対抗でも好投している。先日行われた、今年最初の公式戦であるJABA東京スポニチ大会でも2戦目の西濃運輸戦に登板して、2回をパーフェクト、3奪三振と圧巻の投球を見せた。
安定した企業チームから再び明日をも知れないプロの世界に戻るということはかなりのリスクを伴うことであり、NPB側も声をかけるケースは滅多にないと思われるが、再びプロの打者を相手に投げている姿を見てみたいと思わせる投手であることは間違いない。
一度、戦力外となり、他のカテゴリーでプレーした選手が再びNPBに戻るのは相当な狭き門ではある。しかしながら、冒頭で触れた藤井のように、環境を変えて急成長する選手がいることもまた事実だ。一昨年もシーズン開幕後に歳内宏明が四国アイランドリーグの香川から、ヤクルトに復帰したという例もあるだけに、今年もそのようなケースが出てくることを期待したい。
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