ロシアが化学兵器を使用するならサリン プーチンと「731部隊」の不気味過ぎる共通点も
VXガスを使わない理由
ところが実際は、ウクライナに侵攻し、おまけに苦戦が伝えられてから、ロシアは化学兵器について言及した。
「この時系列ですと、ロシアは苦戦を脱しようと化学兵器の使用を検討しており、その正当化のためにウクライナに難癖を付けている、そうアメリカが分析するのも当然でしょう」(同・常石氏)
もしロシア軍が化学兵器を使用するとしたら、やはりサリンを選ぶ可能性が高いという。たとえ他の化学兵器が優れていても、だ。
「VXガスの殺傷能力はサリンより高いのです。VXガスを戦場で使う場合は、発射したロケットの中で薬品が混ざりあうなどの工夫が施されています。つまり、着弾してから毒性を発揮するというわけです。使用する兵士にとっては、自分たちの安全性が高くなるのです」(同・常石氏)
だが、VXガスには大きな問題がある。製造できる国家が限られているのだ。
「もしウクライナ国内でVXガスが使用されたと判明したら、それだけで専門家は『ロシアが製造した可能性が極めて高い』と指摘するでしょう。ロシアが『ウクライナの化学兵器が使われた』と主張したい場合、VXガスは使えないと思います」(同・常石氏)
やはりサリンという理由
一方のサリンは、VXガスに比べると比較的、製造が容易だ。ロシアにとってはウクライナに“濡れ衣”を着せるのに都合が良い。
「ウクライナでサリンによる被害者が出たとしても、VXガスとは違い、その事実だけでは『ロシアが使った』と判断できません。そもそもロシアがサリンやVXガス、マスタードガスを持っているかどうかは分かりませんが、使うとしたらサリンでしょう。『ウクライナのサリンが使われたのだ。わが国ロシアは、むしろ被害者だ』と強弁するのに都合が良いからです」(同・常石氏)
註:露、化学兵器使用の恐れ 「ウクライナ軍が準備」主張 偽旗作戦の可能性(産経新聞3月21日朝刊)
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