ロシアが化学兵器を使用するならサリン プーチンと「731部隊」の不気味過ぎる共通点も
NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」は3月19日、「国連安保理 “ロシアに生物化学兵器使用のおそれ” 各国が警戒」の記事を配信した。
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【写真6枚】日本人が「サリン」と聞けば、どうしても「オウム真理教」を思い出してしまう
《国連の安全保障理事会では、ロシアが「ウクライナで生物兵器が開発されている」と主張していることについて再び会合が開かれましたが、各国からは「ロシアこそ生物化学兵器を使用するおそれがある」と警戒する発言が相次ぎました》
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官(59)も17日に行われた記者会見で、ロシアがウクライナで化学兵器を使用する可能性があると指摘した。
更に中日スポーツは10日、「ロシア、次の一手は残虐非道のサリン散布か、西側政府高官『使用する可能性は大きい』2010年代にシリアで“実績”あり」と伝えた。
こうした報道を総合すると、ロシア軍はウクライナでサリンを散布するのではないか、と国際社会が注視していることが浮かび上がる。
最悪のシナリオであることは論を俟たない。特に日本人は、松本サリン事件と地下鉄サリン事件の経験から、この化学兵器の恐ろしさは骨身に染みている。担当記者が言う。
「オウム真理教は1993年にサリンの製造に成功。94年に松本サリン事件を、95年に地下鉄サリン事件を起こしました。特に後者は、朝のラッシュ時に、東京メトロの千代田線、丸ノ内線、日比谷線の車輌内でサリンを撒いたという、文字通りの無差別テロでした」
ナチスが開発
サリンが恐ろしいのは、殺傷能力が高く、おまけに皮膚からも吸収してしまうという点だ。防毒マスクだけでは防ぎきれず、防護服を身につける必要がある。
「地下鉄サリン事件では、乗客や駅員など14人が死亡。負傷者は6300人を超えます。また九死に一生を得た被害者の方々は、精神的にも肉体的にも後遺症に悩まされることになり、それは今でも続いています」(同・記者)
実はこのサリン、最初に製造したのはナチス・ドイツで、その製造工場をソ連が接収したという歴史がある。生物・化学兵器に詳しい、神奈川大学経営学部名誉教授の常石敬一氏が言う。
「第二次世界大戦は1939年に始まりましたが、前年の38年にナチス・ドイツが開発に成功したとされています。大戦中に製造を続けていましたが、実戦で使われることはありませんでした」
独ソ戦で反撃に出たソ連軍は、ベルリンまでの進軍の過程でサリンの製造工場を抑えたという。
「しかしソ連軍が手に入れたのは、サリンより毒性の弱いタブンだったようです。第二次大戦後、ソ連は欧米におけるスパイ活動でサリンやVXガスの製造方法を入手。それから国内で製造を開始したとされています」(同・常石氏)
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