後ろ盾を失ったベテラン、打てない強肩捕手はシーズン途中で…巨人、今年活躍しないとクビになりそうな野手5人の名
同タイプの野手2人
次は外野手だが、候補は3人いる。最初の2人は、ともに右投げ左打ちで俊足が武器の立岡宗一郎と重信慎之介だ。このタイプの外野手といえば、昨シーズン、チームではプロ5年目の松原聖弥がトップバッターに定着し、135試合出場。見事にブレイクを果たした。この松原に勝たないと、レギュラーはおろか1軍定着も怪しくなる。
まず立岡はここ3年間の低迷が何といっても痛い。19年は丸佳浩がFA加入、亀井がレギュラーに定着し、代走要員でも増田大輝が台頭したこともあり、1軍出場はわずか25試合のみ。打率2割8分6厘(14打数4安打)、0本塁打、1打点、3盗塁に終わってしまう。続く20年は春季キャンプ中に右手首を骨折した影響で、1軍昇格したのは9月中旬だった。最終的に29試合に出場して打率2割6分1厘、1本塁打、4打点、1盗塁という成績だった。昨シーズンはプロ13年目で初となる一塁の守備につくなど守備固めや代打を中心に47試合に出場するも、打率2割5厘、0本塁打、1打点。加えて7年ぶりに盗塁をマークすることが出来なかったのである。
一方の重信は、ルーキーイヤーの16年から19年まではオフの契約更改でもアップ査定されるなど活躍を見せていた。特に19年は自己最多の106試合に出場し、打率2割6分6厘、2本塁打、16打点、14盗塁で、打率以外はキャリアハイの成績を残したのである。ところが、一昨年から暗転。20年は開幕1軍入りしたものの、前年に比べ出場機会が減少し、60試合の出場に留まってしまう。結果、打率2割5分6厘、1本塁打、6打点、5盗塁と成績も落とすことに。オフにはプロ入り初の減額査定をされてしまう。昨年は73試合と出場機会を増やしたものの、スタメン出場はプロ入り後最小の11試合に終わり、打率も2割1分8厘とさらに低迷。悔しさの残るシーズンとなってしまった。
この2人は今年やらなければ後がない状況だが、その俊足に価値を見出した他球団が欲しがる可能性もある。危機感からか、3月19日の時点で立岡はオープン戦7試合に出場して20打数6安打で打率3割、1打点、1盗塁とアピールしている。かたや重信は1軍のオープン戦出場はまだなく、2軍の春季教育リーグへの出場に留まっている状態だ。現段階では立岡が一歩リードしており、ここから重信は是が非でも巻き返さなければならない状況となっている。
外野手の残る1人は、右の大砲“ダイナマイト・シンゴ”こと石川慎吾である。チームの外野手は前述した松原と主軸の丸佳浩は実績から考えてほぼレギュラーが確定している。残り1枠を争うのが、パンチ力と勝負強さが魅力のゼラス・ウィーラー、昨年ドラフト5位入団の新人・岡田悠希、新外国人のグレゴリー・ポランコとアダム・ウォーカーらで、内野手登録のスイッチヒッター・若林晃弘も外野手として起用されることもある。ここにケガで現在離脱中の梶谷隆幸と八百板卓丸が加わることになる。
そんな激戦区で生き残らなければならないわけだが、一昨年は開幕1軍入りを果たし、主に代打で43試合に出場。打率2割4分4厘、2本塁打、7打点を記録した。もっとも昨季は26試合出場と激減。打率も1割8分9厘、本塁打と打点に至っては0に終わった。それもこれも19年には打率2割9分3厘をマークした対左投手の打率が、昨年は12打数1安打のわずか8厘と結果を残せなかったからだ。
2軍では出場した56試合中26試合で4番を務め、打率3割6分5厘、11本塁打、39打点と好成績を残しており、潜在能力の高さは証明されている。それでもチームの中で埋もれてしまっている感が否めない。だから、今シーズン頑張らなければ、来季の契約は危うくなるだろう。“右の大砲”としての魅力は非常にあるので、トレード要員候補として名が浮上する可能性も少なからずある。今年29歳とまだまだ若いので、成績次第で早ければシーズン中にトレードに出し、環境を変えるというのも1つの手かもしれない。
最後の一人は…
最後は、しばしばトレード要員候補として名が挙がる捕手・小林誠司である。理由は直近2年の成績低迷に尽きる。20年は左手骨折で長期離脱を余儀なくされ、出場はキャリア最低となる10試合のみ。21年は開幕1軍入りしたものの、先発出場はなく、2軍に落ちた。2軍でも28打席連続無安打を記録するなど24試合出場で打率1割1分5厘。1軍では9分3厘と1割にも届かない低打率を叩き出してしまった。
現代野球では“打てる捕手”が求められる傾向にあり、現状チームの正捕手はまさに“打てる”大城卓三が務めている。長年課題だと言われ続けている打撃力が向上しなければ、レギュラー奪還は夢のまた夢。さらに2番手捕手としても岸田行倫が控えているうえ、19年高卒ドラ5捕手の山瀬慎之助の成長も見込まれる。今年も打てなければ、引退や自由契約はないにしても、トレードの目玉候補になる可能性大だ。1億円という高額な推定年俸はネックになるが、4年連続でリーグトップの盗塁阻止率をマークした自慢の肩や高い守備力を評価する他球団はあるはずだ。守れる捕手が必要なチームから求められれば、出場機会を求めて移籍する可能性もあるだろう。
[2/2ページ]