モスバーガー50周年で「成増」が「なりもす」に “ネーミングライツ駅”の効果は
3月8日、東武鉄道は東上線の成増駅の駅名標や南口の駅名表示を「なりもす」駅へと改称した。この取り組みは、4月3日まで実施される。
今回、なりもす駅へと看板などを変更した成増駅は、大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の1号店が出店した地として知られる。
【写真】2017年に改称される前の松原団地駅。松原団地は1962年に入居が始まり、東武沿線の人口増に寄与した
同店は、今年が開店50周年。“なります”にかけて“なりもす”へと変更したことで、50周年という記念すべき年を宣伝する効果を狙ったものだ。
「今回の取り組みは、モスバーガーを経営するモスフードサービスとの協議で決まりました。当社は特にネーミングライツに詳しいわけではありませんが、今回のなりもす駅がネーミングライツとは意識していません。あくまでも、イベント的な取り組みの一環という位置付けです。そのため、なりもすに変更したのはホームの駅名看板と南口駅舎の上部に併記された“なりもす駅”だけです」と説明するのは東武鉄道広報部の担当者だ。
ネーミングライツとは、ほかの事業者に駅名を販売・貸与する商行為を指す。なりもす駅は、約1か月間という短い期間だけ実施されるイベント的な趣が強い。車内アナウンスも“なります”駅のままで、券売機の上部に設置される運賃案内図も変更されていない。成増駅の北口にも、なりもす表記は見られなかった。
「駅は公共的な施設です。利用者が混乱しないように、どこまで“なりもす”に変えるのかを事前に打ち合わせを重ねました」(同)
東武鉄道は「あくまでイベント的な取り組み」と説明するが、ネーミングライツは期間の長短を問わない。企業は広告料を支払ってスポンサーになることで、施設の命名権を取得する。そして、その命名権で自社の商品・社名などをPRする。それらは、原則的にすべてネーミングライツに分類される。
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