ロシアで「プーチン支持率70%超」報道の胡散臭さ 実際のところはどれくらいなのか?

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 ロシアの世論調査で、ウラジーミル・プーチン大統領(69)の支持率が70%を超えたと発表され、日本でも複数のメディアが報じた。

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 時事通信は3月12日、「ウクライナ侵攻後、支持率70%超に上昇 ロシア調査でプーチン氏」の記事で以下のように報じた。

《ロシア政府系の「全ロシア世論調査センター」は11日、同国のウクライナ軍事侵攻後、プーチン大統領の支持率が70%超に上昇していることを示す調査結果を発表した》

 朝日新聞デジタルも12日、「プーチン氏支持率77%、侵攻前から10Pアップ 政府系世論調査」と報じた。

 また「PRESIDENT Online」も10日、「『プーチン大統領の支持率が71%に』ロシア国民がウクライナ侵攻に賛成する深刻な理由」を配信している(註1)。

 だが、さるメディア関係者は、こうした報道に「違和感がないといえば嘘になります」と言う。

「何しろロシアには言論の自由が存在しません。更に今のロシアはウクライナに侵攻しており、いつも以上に愛国的な世論を作り出そうと画策しています。ところがどの記事も、『支持率が本当に70%もあるのか?』という疑問は指摘していません。これではミスリードと言われても仕方ないのではないでしょうか」

従来は「支持率60%」

 プーチン政権に対する“本当の支持率”は一体どのくらいなのか、筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)に訊いた。

 そもそもウクライナ侵攻前は、どれくらいの支持率だったのだろうか。

「ロシアには世論調査を行う会社が複数ありますが、いずれも政府系です。調査方法は対面か電話ですので、調査の対象に選ばれたロシア国民にとっては、自分の名前や住所、連絡先などの個人情報を抑えられているという不安があります。この時点で、公正な世論調査は期待できないと考えるべきでしょう」

 ウクライナ侵攻前は、支持が60%、それ以外が40%程度だった。

「支持の60%も信頼の置ける数字ではありませんし、残りの40%も基本は『回答しない』でした。今も昔も、ロシア人が世論調査で面と向かって『プーチン大統領を支持しない』と回答することはリスクなのです。とはいえ、こうした世論調査が全く参考にならないかと言えば、それも違うと思います。6対4という数字から、様々な分析を行うことは可能だと考えます」(同・中村教授)

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