ウクライナ侵攻に習近平が頭を抱える理由 空母をウクライナから購入、食糧問題にも影響
ロシアのウクライナ侵攻で、中国が台湾への武力攻撃に踏み切るハードルが低くなった――。そういう声が世界から寄せられていたが、実は、習近平国家主席はむしろ、頭を抱えているというのである。
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もっとも、東京大学大学院総合文化研究科の阿古智子教授(現代中国)は、
「中国はロシアと同じ権威主義国家なので、当然、ロシアに勝ってほしいという願望をもっています」
と言うが、さりとて両国が信頼し合っているわけではないという。
「プーチン大統領と習国家主席は、北京五輪の開会式前の首脳会談でも、天然ガスの供給のほか、NATOの東方拡大とウクライナのNATO加盟、米国主導の中国包囲網への反対という点で一致しました。とはいえ、両国はソ連時代から領土紛争を抱え、ともに自国を上に見て、相手を信頼しているわけではない。ウクライナ侵攻も、中国は事前に知らされていなかった模様で、このためCIAのバーンズ長官も10日、“習主席は動揺し、対応に苦慮している”と話しています」
トウモロコシの輸入は8割をウクライナに依存
苦慮する背景には、
「中国の空母、遼寧はウクライナから購入したものですし、一帯一路構想でもウクライナは重要な拠点」
との事情もあるという。シグマ・キャピタルの代表取締役兼チーフエコノミスト、田代秀敏氏も説く。
「中国空軍は航空機体数が世界最大ですが、ジェットエンジンはウクライナから購入してきたし、中国製のものもウクライナ人技術者の指導を受けているようです。ホバークラフト揚陸艇、軍艦用ガスタービンエンジンも、ウクライナから輸入しています。中国にとってウクライナは兵器や軍事技術の重要な調達先です」
そのうえ食糧問題もからんでいるという。
「中国料理に欠かせない豚の飼料になるトウモロコシの輸入は、8割をウクライナに依存しています。中国は10年前に、ウクライナの農業開発へ数千億円を融資し、ウクライナはトウモロコシを輸出して返済しているのです。ウクライナからトウモロコシが届かなくなり、豚が食べられなくなれば、政権を揺るがす事態になりかねません」
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