元近鉄・ブライアントが再び日本球界へ ファンが思い出すアンビリーバブル伝説

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前代未聞のシーズン200三振

 近鉄は93年6月5日のダイエー戦で、9回に6点差を逆転するというNPB史上初の快挙を達成したが、敵失の間にサヨナラのホームを踏んだのは、2死から敬遠で歩かされたブライアントだった。バンザイポーズで生還したブライアントの口からすっかり十八番となった「アンビリーバブル!」が飛び出したのは言うまでもない。

 同年のブライアントは、10月14日のロッテ戦で3三振を喫し、前人未到のシーズン200三振を達成。最終的に「204」まで伸ばし、2009年にダイヤモンドバックスのマーク・レイノルズに抜かれるまで“世界の三振王”の座を守りつづけた。

 また、94年6月8日のロッテ戦では、2点を追う9回無死一、二塁のチャンスに右翼フェンス直撃の当たりを放ったブライアントだったが、捕球されると思って二塁にとどまっていた一塁走者・大島公一を追い越しそうになり、慌てて一塁に戻ろうとした直後、タッチアウトに……。同点打が幻と消えたばかりでなく、大島までタッチアウトになって、試合も負け。アンラッキーな結末でも、決めゼリフはやはり「アンビリーバブル!」だった。

 新天地・士別でも、指揮官として新たな“アンビリーバブル伝説”を打ち立ててほしいものだ。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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