元公安警察官は見た プーチンが東ドイツで「殺されたい奴は前へ出ろ!」と叫んだ日
『殺されたい奴は、前に出ろ!』
「その頃、東ベルリンにあったソ連大使館も東ドイツの民衆から取り囲まれ、連日『国外へ出ていけ』と抗議デモが行われていました。何とかデモを鎮圧したいと考えたプーチンは、そこへ拳銃を持って現れたのです。彼は柔道など格闘技が得意ですが、大勢の民衆にはひとりではどうしようもないと考えたのでしょう。そして、拳銃を掲げたまま、『殺されたい奴は、前に出ろ』と叫んだそうです。このひと声で抗議活動が止んだといいます。腹のすわった男ですよ」
1989年11月9日、東ドイツ政府は、出国の規制を緩和する改正案を決議。その後の記者会見でシャボウスキー政府報道官は、いつから改正案を発効するのかという記者の問に、うっかり「ただちに」と答えたため、今すぐ自由に出国できるとの報道が広がり、東ドイツ市民が大挙して壁に押し寄せ、ベルリンの壁は崩壊した。1990年10月、東西ドイツの再統一が実現した。
「ベルリンの壁崩壊を目の当たりに見たプーチンは、民衆が一斉隆起した際の力に恐れを抱いたそうです。東ドイツは西ドイツに吸収されてしまった。その怖さを肌で感じたのでしょう。NATO(北大西洋条約機構)入りしてウクライナが西側諸国と同じになれば、いずれロシアも東ドイツと同じようになるのではないかという疑念がぬぐえないのだと思います。ですからウクライナに侵攻して中立国にする必要があるのです」
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