「引退間近」や「世界にたった一つ」も いまだから乗っておきたい列車をレコメンド…四国「DMV」、JR九州特急「かもめ」、JR西日本特急「やくも」

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阿佐海岸鉄道阿佐東線を走るDMV

 JRグループのダイヤ改正が3月12日に実施され、また多くの私鉄でも時刻の見直しが図られた。今回のダイヤ改正ではコロナ禍の影響を受けて列車の本数を減らす動きが目立つ。さらに、新線の開業や新たな愛称の特急列車の誕生といった話題が見当たらないのは残念だ。とはいえ、このご時世だからこそ乗っておきたい列車は多数存在する。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏がそのいくつかをレコメンドする。

 最初に紹介したいのは、徳島県と高知県とにまたがる第三セクター鉄道、阿佐海岸鉄道阿佐東線を走るDMVだ。これはデュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicle)といって、線路と道路とのどちらでも走行可能な車両を指す。2021年12月25日に旅客を乗せるDMVとしては世界で初めて本格的な営業運転を開始し、現時点では世界でただ一つのDMVとなる。

 阿佐東線とは、徳島県海陽町(かいようちょう)にある阿波海南信号場(あわかいなんしんごうじょう)を起点とし、終点となる高知県東洋町にある甲浦信号場(かんのうらしんごうじょう)までの10.0kmを結ぶ路線である。

 信号場では本来、列車は旅客の乗り降りは扱わない。列車の行き違いなど、鉄道会社の都合で停車する場所だ。しかし阿波海南、甲浦の両信号場では阿佐海岸鉄道の都合でDMVが停車する。お察しのとおり、車両を道路モードから線路モードへ、またはその反対に切り替えるためである。阿佐海岸鉄道によると、DMVは「阿佐海南駅」「甲浦駅」に停車するという。いま挙げた信号場ではなく、かつて鉄道専用の車両が停車していた両駅の駅前に設けられたバス停にDMVはバスの状態で停車するのである。

マイクロバスそのもの

 DMVに用いられている車両の見た目は道路でよく見かけるマイクロバスそのもの。道路上では4つのタイヤを用いて走り、阿波海南・甲浦の両信号場に設けられたモードインターチェンジという道路上に線路が敷かれた場所でボンネットや床下に格納されていた鉄道用の車輪が現れ、レールの上に載っていく。

 この間わずか1分足らずで切り換えられ、インターチェンジに着いても乗客は車両から降りる必要がない。

 線路を走るときにもDMVのタイヤは格納されないので、バスがそのまま線路を走っているように見える。そしてインターチェンジでは鉄道用の車輪が格納され、道路にタイヤが着地してバスとして走り出す。

 なお、阿佐東線で運転される列車はすべてDMVとなっていて、阿波海南文化村と道の駅宍喰(ししくい)温泉または海の駅とろむとの間を結ぶ。阿波海南文化村と阿波海南信号場との間、そして甲浦信号場と道の駅宍喰温泉または海の駅とろむとの間は道路を行く。

 列車、バス、それぞれの状態を合わせた所要時間は阿波海南文化村-道の駅宍喰温泉間が45分、阿波海南文化村-海の駅とろむ間は1時間21分で、列車として走る時間は21分だ。

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