オープン戦絶不調の巨人をどう見れば良いか 評論家が指摘した投手陣の意外なキーマン
巨人がオープン戦で苦戦中だ。3月18日現在、3勝8敗2引き分け、勝率は2割7分3厘と低迷。12球団中11位という順位で、12位のヤクルトと“最下位争い”を演じている。
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スポーツジャーナリズムも注目しており、ネット上でも多数の記事が配信されている。ここでは悲観的な見方を伝えたものと、楽観的なものと、2つをご紹介しよう。
悲観的な内容の代表例は、YAHOO!ニュースが3月12日、オリジナル記事(註)として配信した「“大物OB”がOP戦5連敗の巨人に警告『このままなら最下位だ』」だろう。
タイトルにある《大物OB》は広岡達朗氏(90)を指す。文中には広岡氏の厳しい指摘が詳細に紹介されている。その中から1つだけ引用させていただく。
《「昨年の反省がどこにも感じられない。チームとしての成長が見られない。今日はベンチにいなかった原監督、コーチ陣は、キャンプで何をしてきたのだろう。このままなら最下位だ」》
一方、楽観的なデータを示したのは、ベースボールキングが3月14日に配信した記事「『最下位』はむしろ吉兆…?直近20年・巨人のオープン戦成績とリーグ順位」だ。
《直近20年においては、2008年・2017年・2020年とじつに3回もオープン戦最下位となっている》
《しかし、ただでは転ばないのが巨人というチーム。その3回のうち、2008年と2020年の2回はリーグ優勝を果たしている》
オープン戦の“変化”
果たしてオープン戦の成績は、ペナントレースの成績に直結するのか、しないのか? ヤクルト、巨人、更に阪神のOBである広澤克実氏に取材を依頼した。
「私が現役の時、オープン戦の初戦は、シーズンの開幕と同じような高揚感がありました。そのためオープン戦でのチーム順位が、ペナントレースの順位に直結する傾向が今よりも強かったと思います。オープン戦で順位が上位なら、チームの士気も上がり、開幕ダッシュにつながることも珍しくありませんでした。逆に下位に低迷してしまうと、開幕戦以降も不振が続くというわけです」
以前はオープン戦でも勝敗にこだわる傾向があったという。広澤氏は「近年は、そうしたオープン戦の高揚感もなくなってしまったようです」と言う。
「原因は練習試合の増加だと考えています。昔はオープン戦前に12球団同士が試合をすることは珍しく、紅白戦が中心でした。だからこそオープン戦で他球団と対戦すると燃えたわけです。ところが、最近は2月から他球団と練習試合を行うことが珍しくなくなりました」
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