米国進出を本気で目指すゆりやんレトリィバァ 彼女の何よりの“強み”といえば

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武器は「度胸」

 そんな彼女は、以前から海外の文化やエンタメに興味があり、アメリカに進出することを常に意識してきた。そして、最近のインタビューでは「2024年10月にアメリカに引っ越します」とはっきり言っている。

 彼女はかつてアメリカのオーディション番組「America's Got Talent(アメリカズ・ゴット・タレント)」に出演したことでも話題になった。角刈りのかつらをかぶり、星条旗模様の際どい水着を身に着けて、手首の動きを主体にした奇妙なダンスを披露した。残念ながら不合格という結果になったものの、その前後には流暢な英語で審査員と会話をして何度も笑いを取り、会場を沸かせていた。

 笑いのセンスがあり、英会話の能力があり、ダンスやピアノ演奏も得意としているゆりやんは、アメリカで活躍するのに必要な能力をすべて備えている。しかも、それに加えて「度胸」を持っていることが何よりの強みである。

 アメリカのエンタメ業界は日本以上に過酷な競争社会であり、極端なほどに自分をアピールする力がなければ生き残ることはできない。ゆりやんの日本人離れした度胸は、アメリカでも十分通用するはずだ。

 独特のお笑い文化が発達していて、空気を読み合うことが求められる日本のテレビでは、彼女の我が道を行く芸風がときに空回りしてしまうことがある。しかし、お互いの個性を認め合う風潮があるアメリカのエンタメ業界では、彼女のそういうところはむしろポジティブに評価されるだろう。

 近い将来、ゆりやんレトリィバァはアメリカでコメディアンとして頂点に立ち、歴史に名を刻む最初の一人になるかもしれない。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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