メキシコで“マフィアの拷問焼き”を頂く…ルポ漫画「鍋に弾丸を受けながら」 原作者に聞く危険地帯グルメの魅力

エンタメ 文芸・マンガ

  • ブックマーク

「2018年3月 私はメキシコにいた。そしてそこで――“マフィアの拷問焼き”を見学していた」

 “治安の悪い場所の料理は美味うまい”をテーマにした異色のグルメ漫画『鍋に弾丸(たま)を受けながら』(以下、鍋弾)はそんな危険なにおい漂う出だしで始まる。【徳重龍徳/ライター】

 作品は2021年5月にウェブ漫画サービス「コミックNewtype」で公開されると、面白さがSNS上で一気に話題となった。その月の月間ランキング1位に輝き、以降、最新話を更新するたびに週間ランキングでトップになっている。

「作者として面白いものを作ったという確信はありましたが、全く反響がないことも覚悟していたので、SNSで話題になったことはとても意外でした」

 そう語るのは、原作者の青木潤太朗さんだ。『鍋弾』は青木さんの海外での体験を漫画にしている。

 冒頭の“マフィアの拷問焼き”は、実際に人を焼いているのではなく、牛肉をオーガニックコットンに包み、焚き火で焼く料理だ。ただし名前の由来は、服を着たまま炎に投げるというマフィアの伝統的な処刑法と物騒だ。

 青木さんはショットガンを隠さず置くシカゴの料理店や、ブラジルのスラムであるファビュラなど危険地帯を訪れているが「怖い思いまではしていません。現地の友達が横にいましたし、相手が刃物や鉄砲を出してくることはありませんでしたので」と話す。

『鍋弾』の制作のきっかけは、青木さんが友人と食事した際の「日本は70〜90点の美味しいものが安定して食べられるけれど、海外の危険地帯のご飯の中には20点もあれば、5万点くらいのおいしいものもあるよね」との会話だった。

「その時の会話から漫画にしたら面白いかなと思っていました。そこからしばらくたって、突然、『鍋弾』の1話のネームがパーっと浮かんできたんです。友人であった作画の森山慎くんに話をしたところ『かなり面白い』と言ってくれたので、漫画にすることになりました」

次ページ:エルビス・プレスリーの死因になった?サンドイッチ

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。