「R-1」「ヤクルト1000」 各社の乳酸菌飲料の効果を徹底比較 目的ごとのオススメは?

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組み合わせて飲むのは効果あり?

 複数のヨーグルトを組み合わせることの可否ですが、それぞれが邪魔し合うことはなく、むしろ良い影響を及ぼし合うと思います。たとえば「LG21」は胃、「R-1」は小腸で働くのでバッティングしません。

 また、たとえば「R-1」と「iMUSE」はともに小腸で働きますが、免疫活性に至るまでのプロセスが違うので、一緒に飲めばそれぞれが別のプロセスで免疫を活性化してくれるはず。整腸作用に関しては、どのヨーグルトでもある程度は期待できますが、やはりトクホ製品をお薦めします。

 ヨーグルトプラスアルファを摂ることの効果も指摘できます。たとえばバナナやキウイ、はちみつなどに含まれるオリゴ糖や、きなこなどに含まれる食物繊維は、乳酸菌の餌になります。こうした食材を一緒に摂れば、乳酸菌がより活発に活動するようになり、相乗作用が期待されます。

自身で有効性を評価するのが大事

 人によって胃酸や胆汁酸量、腸管の長さや蠕動運動の速度、腸内細菌の種類や量などはさまざまですから、個々人に合った乳酸菌があると思います。整腸作用なら、同じ菌株を2週間摂ってみて排便回数が増加した、便臭が減少した、ということが確認できれば、その菌はその人に合っているといえると思います。花粉症やアレルギー反応も、くしゃみの回数が減った、鼻水が減った、ということで、ご自身で有効性を評価できるでしょう。

 また、最近ではストレス緩和や睡眠の質の向上などの機能が期待される、乳酸菌シロタ株や、プレミアガセリ菌CP2305を使用した発酵乳も開発されています。さらには、認知機能を維持する働きが認められたビフィズス菌MCC1274も発見され、乳酸菌飲料の世界も広がっています。

 新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、回復する力は、最終的にはその人の免疫力にかかっています。それだけに、日ごろからヨーグルトで腸管免疫力を高めておきたいものです。家庭ですごす時間も増えていますので、乳酸菌やビフィズス菌のストレス解消力にも、大いに期待したいと思います。

齋藤忠夫(さいとうただお)
東北大学名誉教授。1952年東京都生まれ。82年東北大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士。2018年より東北大学名誉教授。専門は畜産物利用学および応用微生物学。日本酪農科学会会長などを歴任する乳酸菌研究の第一人者。

週刊新潮 2022年3月17日号掲載

特別読物「『R-1』『ヤクルト1000』『iMUSE 』『ガセり菌』…『コロナ』『風邪・インフル』に強いのは? 『がん予防』では!? 『乳酸菌』の効果を徹底比較」より

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