新庄剛志、西岡剛、元木大介…記憶に残る“トリックプレー”を振り返る!
“騙しプレー”の達人
ロッテ時代の西岡剛も“騙しプレー”の達人だった。そのテクニックがいかんなく発揮されたのが、08年3月26日のソフトバンク戦だ。
5対1とリードの5回、2死一、二塁のピンチに際し、2人の走者が重盗を試みると、ショートを守っていた西岡は、二塁に向かってくる多村仁志に聞こえるように「ファウル」と囁いた。その言葉を信じた多村は、一塁に引き返そうとして、まんまと一、二塁間でタッチアウトになった(記録は盗塁死)。
さらに1点差に追い上げられた8回1死、一塁走者・田上秀則が二塁を狙った直後、打者・本間満は一邪飛に倒れたが、田上の進行方向にいた西岡は、二塁ベースに入る動きを見せ、本間の打球がフェアゾーンに転がったように装った。
「ゴロと思って」とすっかり騙された田上は、そのまま二塁を回ったが、一邪飛と気づいたときには、あとの祭り。慌てるあまり、二塁ベースを踏まずに帰塁するチョンボまで犯し、あえなく併殺になった。
1度ならず2度までも西岡にしてやられたソフトバンク・王貞治監督は「なーんか不思議だよね。積極的に前の塁に行こうという意識はわかるけど、結果的に空回りした」とキツネにつままれたような表情。
この日の西岡は打っても5打数4安打2打点の大活躍で、あと三塁打が出れば、サイクル安打だった。トリックプレーが成功すると、バットにも好影響が出るようだ。
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