事件現場清掃人は見た 拒食症で孤独死した「30代女性」と「元夫」の切なすぎる関係

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部屋に残された大量の食糧

 ところが、1週間以上経っても連絡がつかないことがあった。マンションに行ってみたところ、彼女が亡くなっていたという。

 高江洲氏は特殊清掃を行った際、女性はどのような生活をしていたかをチェックするため、部屋を見てまわった。

「物は少なく、必要最低限の生活備品しかありませんでした。部屋はきちんと整理されていました。以前は外出するのが好きだったようで、クローゼットにはおしゃれな衣類が並んでいました。小物を入れるガラスケースの上には、ホコリがかかっていました。長い間、開けてなかったようです」

 高江洲氏は、ドアが閉まっていた部屋を見て愕然とした。

「そこには、大量の食料がありました。20キロ入りの米袋が積まれ、缶詰やパスタ、レトルト食品などが山のようにありました。元夫が買い与えていたのです。ところが、ほとんど手を付けていませんでした」

 食料のわきに、鞄があった。

「鞄には、封筒がぎっしり詰まっていて、それぞれ現金3万円が入っていました。元夫が渡していた、毎月の生活費です。彼女の様子を見に行く度に、手渡していたといいます。現金は、全部で100万円以上ありました」

 高江洲氏は、遺体のあったベッドを処分し、部屋を消毒した。

「男性によると、マンションは彼女の思い出が詰まっているので、自分が今後住むのは辛すぎるということでした。そこで売却しました。事故物件ですから、相場の半分の値しか付きませんでした。離婚した後も元妻のことを想い、世話を続けた男性のことを考えると、なんとも切ない気持ちになりました」

デイリー新潮編集部

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