ロシア産魚介類ストップでおにぎりが値上げ? 「鮭おにぎりが1個300円になる可能性も」
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、各国は経済制裁を強めている。このあおりを受け、日本の水産業界が混乱に陥っているという――。
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ロシアの蛮行に対して、西側諸国は派兵でなく、経済制裁によってウクライナを側面支援するが、なかでも“切り札”として注目を集めるのがSWIFT(国際銀行間通信協会)だ。
日本を含む200以上の国と地域を結ぶ国際的な決済ネットワークで、SWIFTから締め出されると送金など貿易決済が難しくなる。すでにロシアの主要銀行がSWIFTから排除され、ロシア経済に痛撃を与えることが期待されているが、目下、そのあおりをまともに受けて混乱に陥っているのが日本の水産業界だ。
「日本の輸入量に占めるロシア産の割合は、2020年の数字でタラバガニ85%、毛ガニ97%、ウニ75%、紅鮭71%となっています。他にもタラコを5割近く、ボタンエビなども多くをロシアから輸入している。しかし一連の制裁でロシア側に送金できなくなるなど決済上の安全性が失われたため、今後はロシアからの輸入は非常に難しくなると考えられます」
と話すのは鹿児島大学水産学部教授の佐野雅昭氏。
中国を経由するルートが開拓されるかもしれないが…
これらロシア産魚介類はサハリンやカムチャツカなど産地が限られており、また世界的にも需要が旺盛なため、他国産での代替はそう容易ではないという。
「当面はすでに輸入済みで冷凍在庫されているものでしのげますが、夏以降の流通は不透明。一時的に在庫がなくなる産品も出てくるでしょう。それを見越した商社などが中国を経由する迂回ルートを開拓するかもしれませんが、その分、中国側からマージンを上乗せされ、カニなどを中心に3割程度、値上がりしても不思議ではありません」
昨秋から北海道沿岸で赤潮が大量発生し、ただでさえ海産物の漁獲量が減っていたところに、今回のウクライナ危機が追い打ちをかけた格好になったのも、事態を深刻にしているという。
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