NHK「ロシア語番組」終了の波紋 「最悪のタイミング」とロシア語教育の第一人者は怒り心頭

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ロシア国内の受け止め

 2014年のクリミア半島制圧では、政府を支持したロシア人も多かったようだが、今回の軍事侵攻をロシア人はどう考えているのだろうか。

「ソ連主導のワルシャワ条約機構がなくなった後、NATOの東方拡大に反対してきたプーチンの主張は、それなりに筋が通っていましたが、今回の侵攻で全部覆されました。2014年のクリミア併合については、一応、住民投票を行うなど手順を踏んでおり、ロシア人の中にも併合に賛成する人が多かった。ソ連時代の1954年に、フルシチョフ第一書記がクリミア半島をロシア共和国からウクライナ共和国に移譲していたのを取り戻した格好ですから。しかし、今回のようにいきなり軍が侵攻して市民を殺すやり方は全く異なる次元の暴挙。前回のクリミア併合に賛成したロシア人も、今回のウクライナ侵攻を是認していない人がほとんどだと思います」(同)

 ロシアで暮らした経験のある黒岩教授には、多くのロシア人の友人がいる。

「ロシアの友人、そしてその中にはウクライナ出身の人たちも多いので心配ですが、『(ウクライナ侵攻を)どう思いますか?』なんて気軽に聞かないようにしています。プーチンは、軍に関する偽情報の拡散に最長15年の懲役刑を科すという『軍事情報統制法』を制定しましたが、これは全く恣意的に運用できるはずです。たとえば、『特別軍事作戦』といわずに『戦争』と書いたら、誤った情報を拡散したとこじつけられて、当局に処罰されるかもしれない。本当に怖いですよ」(同)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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