“優勝候補”大阪桐蔭が初戦敗退の可能性も…今年の選抜は「大波乱」の予感

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防御率0.82、大会屈指の好左腕

【第4ゾーン】
花巻東(岩手)-市和歌山(和歌山)
大島(鹿児島)-明秀学園日立(茨城)
丹生(福井)-広島商(広島)
鳴門(徳島)-大阪桐蔭(大阪)

 花巻東から大阪桐蔭のゾーンは、この2校が中心となるが、ともに、初戦は難敵との対戦となった。優勝候補筆頭の大阪桐蔭は、伊藤櫂人や松尾汐恩、海老根優大、丸山一喜といった長打力のある打者がずらりと並び、近畿大会と明治神宮大会の7試合で59得点と圧倒的な攻撃力を誇る。投手では、2年生の前田悠伍が昨秋に大きく成長し、その投球はとても下級生とは思えない完成度がある。

 だが、初戦の対戦相手である鳴門のエース、富田遼弥は、四国大会3試合での防御率0.82をマークした大会屈指の好左腕だ。大阪桐蔭が富田を攻めあぐねると、前田以外の投手陣に不安があることから、厳しい展開となることが予想される。

 一方の花巻東は、2年生ながら高校通算50本塁打を誇る佐々木麟太郎と、プロ注目の強打の捕手である田代旭を中心とした打撃のチームだ。長打だけでなく、足を使った攻撃ができるため、チームの得点力は大会屈指である。

 ただし、初戦で対戦する市和歌山のエース、米田天翼は、140キロ台中盤のストレートを誇る好投手で、その攻略は簡単ではない。佐々木が昨年12月に両肩を手術しており、その回復途上というのも気がかりだ。ロースコアの展開になると、市和歌山のペースになるだろう。

 このほか、関東王者の明秀日立は打線が強力で、初戦で対戦する大島の好投手、大野稼頭央との対決も楽しみだ

投手陣の起用がポイント

 4つのゾーンそれぞれに力のあるチームが入り、優勝候補と見られる大阪桐蔭、広陵、花巻東、九州国際大付が初戦から難しい相手との対戦となったことで、どのチームが優勝するのか、予想が難しい展開となりそうだ。このほか、1週間500球の球数制限の影響もあり、投手陣をどのように起用するかという点も大きなポイントとなる。

 開会式への参加は初日に登場する6校だけと、通常の大会運営には戻っていないが、有観客で実施し3年ぶりにブラスバンドの応援が復活する。コロナ禍の閉塞感を打ち破るような熱い戦いが繰り広げられることを期待したい。

注)各ゾーンを勝ち進むと、ベスト4が出揃う。学年は4月からの新学年。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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