まだまだ「つづく」らしい「東芝ドタバタ劇場」 「2社分割案」に修正後わずか1カ月で社長退場
切り札の出し直し
M&Aアナリストによれば、そもそも3社に分割できない可能性が生じたことが最大の問題点だという。
「2013年12月、事業再編を促す目的で、“産業競争力強化法”なる法律が成立しました。東芝がその法律の適用を受けると、新会社2社に移転する資産の譲渡益は課税を免除され、また、株主へのみなし配当にも税金がかからないというメリットがある。ただ、会社法上、切り離された新会社の総資産が東芝のそれの5分の1を上回る場合、23年6月開催の定時株主総会で、3分の2以上が賛成の特別決議を可決させなければなりません」
ところが、新会社2社のうち、インフラサービスカンパニーは5分の1どころか、東芝の総資産のかなりの部分を占める。物言う株主に反対の姿勢をとられ、それに同調する機関投資家などに加勢されたら、インフラサービスカンパニーの切り離しに、株主総会で3分の2以上の賛成は獲得できない。すなわち、3社分割案は水泡に帰する公算が大だったのだ。
これを受け、株主総会で特別決議が不必要な2社分割案を打ち出したものの、2月7日の発表後1週間で、株価は4800円から300円以上も下落。市場からダメ出しを食らい、2社分割案の責任者の綱川社長が退場する流れが固まったわけである。
2社分割案で突き進むと決めたのに、一転して逆戻り。東芝と物言う株主のドタバタ劇は、まだまだ続く。
「週刊新潮」2022年3月17日号「MONEY」欄の有料版では、東芝トップの退任劇の内幕を詳報する。
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