高齢者はコロナより肺炎に注意すべき? 外出自粛より重要な対策とは
2類指定の弊害
肺炎にならない――。風邪でもコロナでも気を付けるべきはそこだが、著しい矛盾を和田氏が突く。
「多くの医師はこれまで風邪の対策を尋ねられて“免疫を高めましょう”と言っていたのに、コロナについては“自粛しましょう”と反対のことを言って、楽しみを禁止しています。しかし、家にこもって、お腹も空かないから栄養もあまり摂らないのでは、免疫力が下がって当然です」
それは、コロナだけが特別視されることによる弊害の一つだろう。残念ながら、リスクを抱える人をさらにリスクにさらす弊害はほかにもある。代表例は、相変わらずコロナが感染法上の2類相当のままであること。和田氏が続ける。
「コロナが2類であり続けることで、コロナ以外の病気の人が医療機関に受け入れられないなどの不利益が生じているし、医療関係者が濃厚接触者になって自宅待機させられた結果、人手が足りずに医療が逼迫するという、ばからしいことが起きています。また、2類であるためにコロナ病棟を作らざるをえず、基礎疾患や別の疾病で入院していた人が感染してそこに入れられると、専門医に付きっきりで診てもらうことも難しくなってしまいます。2類のままだと見舞いに来てもらえないのも問題で、心理面で参ってしまう人が少なくありません」
命を守るという建前
寺本教授も指摘する。
「コロナ患者は感染症病棟で診療しなければならない、という制約のもと、持病や基礎疾患の専門医による診療が行いにくい面があるのは事実です」
再び和田氏の話。
「このようにコロナを5類にすべき理由はたくさんあります。もっと強毒な変異株が登場したら、と言う人もいますが、そのときは2類に戻せばいいだけです」
命を守るという建前のもと、2類相当のままにされた結果、基礎疾患が悪化して死亡する患者がいるとしたら、本末転倒もはなはだしいではないか。肺炎にならないように、個人が最大限に気を付けるべきはもちろんだが、本当の意味で命を守るための決断が、政府に求められている。
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