高齢者はコロナより肺炎に注意すべき? 外出自粛より重要な対策とは

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肺炎は“二次災害”

 東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科の寺本信嗣教授も、今の状況についてこう語る。

「コロナはもはや普通の風邪になったと実感しますが、それでも、高齢者がコロナ感染をきっかけに亡くなるケースは少なくありません。ただし、オミクロン株に置き換わってリスクが低減したのも事実。肺胞の表面積はテニスコート1面ほどもあるのですが、デルタ株までは2日程度で、表面積の半分程度にまで炎症が広がることも珍しくありませんでした。しかし、オミクロン株では炎症が広がる速度も低下し、肺の半分近くまで炎症を起こす人の割合は10分の1以下に減少。オミクロン株が単体で肺炎を引き起こすことはほぼなくなり、現在、コロナ患者が発症する肺炎は“二次災害”のようなものです」

高齢者が気をつけるべきは肺炎

 つまり、いまは“二次災害”をいかに防ぐかが重要だ、ということだろう。そのためにはまず肺炎について知ることである。寺本教授が続ける。

「肺炎で亡くなる方は年間約10万人。そのうち誤嚥性肺炎が4万5千人程度だとされますが、実際には、10万人の大半が誤嚥性肺炎と見られています。医師が死因を書く際、“誤嚥性”を省略して“肺炎”と書いてしまうケースが多いからです。日本人の死因は1位がん、2位心疾患、3位肺炎です。10年ほど前まで3位に入っていた脳血管疾患のほか、多くの病気が医療の進歩とともに、徐々に克服できるようになる一方で、高齢者の肺炎は老衰などと隣り合わせの面があり、いまだ手付かずの領域として残されているのです」

 そして、こう加える。

「現状、コロナにかかって亡くなる方は、ほぼ70~90代の高齢者です。肺炎で亡くなる方の多くが85歳以上で、それに近づいてきている印象です」

 要するに、高齢であればあるほど、オミクロン株の感染状況を問わず、肺炎に気を付けるべきだという話なのである。

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