なぜ日本だけ30年も賃金が上がらない? ビッグマック、賃金ともに韓国以下に
値上げを「不誠実」と感じる国民性
そこに加えて、日本では、「値上げは企業努力で回避するのが当たり前」という風潮がある。先日、スナック菓子「うまい棒」が10円から12円に値上げ発表されたことを受けて、発売から42年間も10円という価格を維持していたことが美談として語られたことからもわかるように、日本人にとって「安売り」をしない企業は「不誠実」なのだ。
もちろん、庶民が食品や生活必需品に「安さ」を求めるというのは、万国共通の現象だ。が、日本はちょっと度が過ぎてしまっている感が否めない。
イギリスのエコノミスト誌が公表している世界各国のビッグマックの価格を比較した「ビッグマック指数」というものがある。その今年2月の最新データ(今年1月時点の1ドル115.23円で換算)を見ると、アメリカのビッグマックは5.81ドル、イギリスは4.82ドル、中国は3.83ドル、韓国は3.82ドルとなっているのに対して日本は3.38ドル。一部消費者から「ぼったくり」と叩かれる日本のマックは、実は外国人にとって、「激安グルメ」なのだ。
本質的には「ケチ」なことが原因
この「内外格差」は外食以外も同様だ。例えば、ディズニーランドも昨年10月1日に、ワンデーパスポートを8200~8700円から、7900~9400円に変更したことを受けて、「値上げヘイト」のターゲットになっている。「あんなに混雑していて高すぎる」「もう行きません」などとネットで叩かれているのだ。
ただ、マック同様、実は日本のディズニーランドは世界で最安値。フロリダや上海、パリなどは需要に応じて価格が変動する「ダイナミック・プライシング」という制度を導入しているので一律ではないが、閑散期でも1万円を上回ることが多いのだ。実際、中国やアジアの訪日観光客の中には、「世界一コスパのいいディズニーランド」を目当てにしている人たちもいる。
そこで気になるのは、なぜ「日本だけが安いのか」ということだろう。
エコノミストや経済評論家の説明では、「日本が円安政策をとってきた弊害」「デフレが悪い」となることが多いが、実は本質的なところでは、我々日本人が他国の人々よりも異常なほど「値上げ」を嫌い、「安さ」を執拗に追い求めているということが大きい。要は「ケチ」なのだ。
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