「恋せぬふたり」で好演、「岸井ゆきの」の魅力 “名バイプレイヤー”からヒロインへ
現在、テレビドラマや映画、舞台で主に脇役として活躍する若手女優といえば、岸井ゆきのの名が真っ先に挙がる。役の大小に関わらず、観る者を魅了する演技は“名バイプレイヤー”の域を超えたといってもいい。現在好評放送中の「恋せぬふたり」(NHK総合・毎週月曜22:45~)で待望の連続ドラマ初主演を果たした(高橋一生とのW主演)。身長150.5センチという小柄な身体からは想像もつかない刺激的な演技で、業界人からの圧倒的な支持を集めている彼女の魅力に迫ってみたい。
岸井ゆきのは1992年2月11日生まれ。神奈川県秦野市出身で今年30歳になったばかりだ。高校時代に山手線の車中でスカウトされると、09年10月クールのTBS系連続ドラマ「小公女セイラ」でデビュー。11年3月公開の「ランウェイ☆ビート」で映画初出演を果たすと、同年11月には劇団・モナカ興業の公演「43」で初舞台を踏んだ。その後はテレビドラマや映画、舞台などで活躍の幅を広げてきた。17年には映画初主演作となる「おじいちゃん、死んじゃったって。」で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞している。
最初に注目されたのは14年2月から放送された東京ガスのCMだった。“家族の絆シリーズ「母からのエール」篇”に出演、就職活動中の女子大生を演じた。何社も何社も入社試験を受けては落とされ、受けては落とされ……という就活の厳しさに押し潰されそうな役を好演したことで、「あまりにもリアルすぎる」という声がSNS上で溢れ、1年間の放送予定が途中で中止に(計4回しか放送されていない)。その後、次第に「感動的なCM」として認められることとなったという作品で、このエピソードからも彼女の圧倒的な演技力がわかる。
16年にはNHK大河ドラマ「真田丸」に主人公・真田信繁(堺雅人)の3人目の妻・たか役で、18年後期にはNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」にヒロイン・立花福子(安藤サクラ)の姪っ子の香田(のちに結婚して神部姓に)タカ役で出演し、知名度がアップした。後者は4人兄弟の長女で妹たちの面倒をよく見るしっかり者という役どころだが、初登場時の年齢は14歳。当時26歳の岸井が、違和感もなく年齢差のある役をこなしたことに驚かされた。少し声のトーンを上げたり、あえて化粧をしなかったりして役作りをしたという。
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