十津川警部を演じた俳優は全部で16名 ベスト・オブ・十津川警部は誰か
個人的なベスト3は…
そろそろベスト・オブ・十津川警部を決めたい。それぞれ味があり、魅力的なのだが、まず3人に絞る。
■内藤剛志 TBS系で8本に出演。最終作は「外房線に消えた女~十津川の初恋~」(2019年7月)。背筋がピンと伸び、悪に正面からぶつかって行くタイプの十津川警部だったが、実はやはり犯人に扮している。同局系で渡瀬さんが主演した「四国連絡特急殺人事件」(2004年3月)である。
資産家の叔父を遺産狙いで殺害した上、アリバイを偽装するなど、これまた悪い奴だった。冷血漢だった。
■高橋英樹 テレビ朝日系で39本に出演。最終作は「十津川警部のレストラン」(2020年7月)。穏やかで部下に優しい十津川警部だった。安定感があった。あえて難点を挙げると、犯人に向かって真顔で説教をしている際、「桃太郎侍」(日本テレビ)に見えてしまうこともあったことか…。
2012年からはカメさん役が愛川さんから高田純次(75)にバトンタッチ。軽いイメージが強い高田だが、演じたカメさんはマジメを絵に描いたような男だった。
■渡瀬恒彦さん TBS系で54本に出演。最終作は「サンライズ出雲の女」(2015年4月)。勇敢で、ヤクザも外国人マフィアも恐れなかった。ついでに上司にも平気で逆らった。
悪党以外にはやさしく、ほとんどの人間に敬語を使った。カメさん役は伊東四朗(84)。事件解決後は2人で屋台のラーメンを食うのが習慣だった――。
それぞれ好きな十津川警部がいるだろうが、ここは渡瀬さんをベストに推したい。作者の西村さんも渡瀬さんの十津川警部がお気に入りだったようだ。
BS-TBSのスペシャル番組「西村京太郎ミステリー紀行~十津川警部が見た風景~」(2010年2月)で2人の対談が実現した際、1975年に163センチと設定した十津川の身長を、2003年発行の『祭ジャック・京都祇園祭』から渡瀬さんに合わせて173センチにしたことを明かした(渡瀬さんは174センチ)。
渡瀬さんは収録中、十津川警部に成りきり、私語は一切口にしなかったという。半面、夜になるとホテルの自室に部下役の俳優たちを集め、酒を振る舞った。
また、部下たちの俳優を交代させることを極端に嫌った。リーダー意識が強かった。情の人という点でも十津川警部と素顔の渡瀬さんは近かった。
[2/2ページ]