都内タワマンに家賃を払わず住み続ける原発避難民 今も続く福島県との裁判
居座れば居座るほど
《東京電力福島第一原発事故による避難指示区域外からの「自主避難者」が、福島県から、東京都江東区の国家公務員宿舎・東雲住宅の退去を求められており、支援者らが19日、東京・永田町の衆院第2議員会館で集会を開いた。/主催グループは、同県が避難者に家賃の2倍相当の損害金を請求し追い出しをしているのは違法だと主張。県が訴訟を起こす場合は、県側に提訴する可能性もあることを明らかにした。》(東京新聞・21年7月20日付)
もっとも、県生活拠点課は、彼らに無理な請求をしているつもりはないという。
「家賃の2倍の損害金と言われますと、高額に受け取られる方もいらっしゃると思います。しかし、東雲住宅は元々の家賃が格安ですから、2倍といっても10万円に満たない方がほとんどです。そして、係争中の方に対しては、2倍の損害金を要求していません。そもそも、2年猶予の際に、期限を過ぎたら家賃2倍相当の損害金を支払ってもらう契約をさせていただきました。しかし、彼らは入居の申し込みをしながら判は捺さなかったのです。契約がされていないため、県が彼らに求めている損害金は家賃と同じ金額、それと共益費ということになります」
名目上は損害金だが、実質は家賃を支払うよう求められているだけである。
「むしろ心配なのは、その損害金は転出しなければ、その分だけ膨らんでいくことになります。新たな転出先を見つけられたときには当然、家賃は払っていかなければならないものです。その上で、これまで未払いだった家賃、損害金を支払わなければならなくなります。できることなら支援者の方にも、少しでも早く転出されることを勧めていただければいいのですが……」
東雲住宅で11年も家賃を払っていない人が、転出した新居の家賃を払いつつ、損害金など払えるのだろうか。
「もちろん、新生活の状況にもよりますが、その方の生活が厳しいということであれば、お支払いの相談に乗ることはできます」
その上で、あくまで基本原則は変わっていない。
「裁判となっている4世帯の方々も、それぞれご事情はあると思います。それでも、国家公務員宿舎は国民の負担で建てられた住宅であり、本来そこに住むことができるのは国家公務員であることは動かしがたい事実です。そして4世帯の方が支払っていない家賃を負担しているのは、福島県民であることはご理解いただきたいです」
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