ウクライナ侵攻で中国の「斡旋」は成功するか 王毅外相の言葉で浮き彫りになった“苦悩”
当初は数日で首都キエフを占領するとの観測も流れていたウクライナ侵攻で、ロシア軍は苦戦を強いられている。世界2位の超軍事大国だが、準備不足が露呈。対するウクライナ側は、国民の士気の高さや各国からの支援のおかげもあって思わぬ粘り強さを見せている。
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そんな中、中国が意外な動きをしようとしている。王毅外相が全人代期間中の記者会見で、仲介を買って出る姿勢を示したのだ。しかし、その会見で使われた言葉から、中国指導部内のドタバタ感が透けて見えた。
王毅は7日、中国の国会にあたる全人代期間中に記者会見を開いた。中国の外相は年に一回、全人代の時だけ長時間の記者会見を開き、比較的丁寧に世界中の記者からの質問に答える。今回の会見は1時間40分だった。
ウクライナについて「中国は引き続き平和を推進し、交渉を促すために建設的な役割を果たし、国際社会とともに必要な時に仲介したい」と話した。後半だけ原文を引いておく。「(中方)也愿在需要时与国际社会一道开展必要的『斡旋』。」『』は筆者。
注目すべきは、「仲介する」という部分で敢えて「斡旋」という言葉を使ったことである。筆者は中国側が外交で使う用語としては初めて耳にした。中国外交に精通する中国人の知人にも尋ねたが、外交用語で「斡旋」という言葉をあまり聞いたことがなく、仲介を表すなら普通は「調解」という表現をするとのことだった。
もちろん中国語に斡旋という言葉はあるが、日常的に使われる言葉ではなく、外交用語でもほとんど用いられることがないのだ。
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