6人犠牲の「三幸製菓」火災 2年前の出火事故で「右翼」の指弾を受け約束していた「再発防止策」
恐喝のダシ
5月末、佐藤CEOは塾長に回答書を返送。新崎工場で起こした火災事故について縷々(るる)謝罪し、今後の再発防止策を列挙している。そして、〈今後このようなことが起きないよう、再発防止のために、しっかりと対策を取ってまいります〉と約束していた。
これですべては収まったはずだったが、20年6月18日、塾長は自称経営コンサルタントの男とともに新潟県警に逮捕される。三幸製菓から、現金500万円を脅し取ろうとした恐喝未遂の疑いだった。
「自称コンサルタントはどこかで公開質問状のことを聞きつけたらしく、三幸製菓の執行役員に一報を入れていました。そのとき、“工場火災の件で、全国の右翼が動いている。街宣車10台用意しているよ”と脅し文句を並べ立てたのです」
さらに、自称経営コンサルの男は三幸製菓の本社に押しかけ、執行役員を前にして「500」という具体的な金額を口にしていた。要するに、塾長は恐喝するためのダシに使われ、単なる恐喝未遂事件として幕が引かれたのだ。
三幸製菓によれば、佐藤CEOの回答書にある再発防止策は、他工場も含めて実行されたという。だが、惨事は起きた。「右翼の警告」に耳を傾けていれば、6人の命は失われなかったかもしれない。
「週刊新潮」2022年3月10日号「MONEY」欄の有料版では、三幸製菓と右翼活動家のやりとりを詳報する。
[2/2ページ]