女好きの義父に“洗脳”され…不倫にハマったアラフィフ男 待ち受けていた衝撃の真実

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やがて見えてきた義父の“正体”

 二世帯住宅は、玄関は別だったが、中はつながっていた。真ん中に大きなリビングがあり、邦和さんがいないときは、葉子さんと子どもたち、義母はほぼそこで過ごしていたようだ。

「引っ越すと同時に、義父である社長も僕を後継者と認めてくれたのか、いろいろな商談や取引先への訪問に連れていってくれるようになりました。義父は“いい人”ではあるんです。中小企業にありがちな暴君ではない。ただ、『古くからいてくれる社員たちに少しでも還元したい』という思いから、新しいものを取り入れるのが遅れることが多く、僕はそこが気になっていました。だからいろいろな提案をした。義父はその多くを他の幹部たちと一緒に検討してくれました」

 必然的に義父と過ごす時間が増えていった。そうなると義父の“趣味”もわかってくる。

「とにかく無類の女性好きだった。義父は義母とは仲がいいんです。週末などふたりでよく出かけている。だけどそれとこれとは別らしくて。あるとき、夜まで一緒に仕事をし、軽く食事でもして帰るかと言いながら連れていかれたのはキャバクラでした。僕はそれまで縁がなくて行ったことがなかったんですが、義父は行きつけの店をいくつももっていたようです。いい子ぶるわけじゃないけど、びっくりしましたね」

 その後はあちこちの風俗にも連れ回されるようになった。葉子さんへの思いもあって「遠慮したい」というと、「大丈夫、娘だってそのあたりはわきまえている」と強引に連れていかれた。

「わきまえているってどういうことなのか……。『男にはいろいろあるってことだよ。まあ、女にもいろいろあるかもしれないけど。邦和くん、そのへんはお互いに秘密をもっていたほうが夫婦仲っていうのはうまくいくんだ』と言っていました。当時はどういう意味なのかわからなかった」

 妻に対しては誠実でいたい。邦和さんはそう思っていた。だいぶ仕事にも慣れてきたし、なるべく早く家に帰って子どもたちとも接したかった。だが義父と一緒だとそれができない。妻に愚痴を言いたかったが、女性のいる店に頻繁に連れていかれるとは言いづらかった。

「だからひとりで残業するふりをして義父の誘いを断ったりもしていました。でも義父は他の幹部を誘ったりはしない。標的は僕だけです。身内だから一緒に楽しもうという気持ちからだと思いますが、僕はどうしても楽しいと思えなかった。それなのに行かないとはっきりも言えなくて。本当に優柔不断でしたね」

気になる女性ができ…

 それでも邦和さんは少しずつ、義父の“趣味”になじんでいってしまう。最初は行くのがつらかったが、だんだん女性たちと接するのも苦ではなくなり、数年たつうちには楽しいと思うようになっていった。

「仕事はきつかったけど、遊んでストレスを発散させて、また新たな気持ちで仕事に向かう。週末だけは家族との時間を過ごす。それがメリハリの効いた生活だと、義父に洗脳されていったんだと思います」

 5年ほど前、気になる女性・菜美さんができた。義父には内緒にしていたが、その道に詳しい義父に隠し通せるわけもない。「無駄金を使いすぎるなよ」と義父にアドバイスされた。

「同時に義父の愛人さんにも初めて会いました。10年来の関係だそうです。義父の援助のもと店を経営、今ではオレより儲けているんじゃないかと義父は笑っていました。なんと子どもまでいるんです。義母は知らないそうですが。義父が彼女のところに行くときは、僕も菜美と会う。そして義父と待ち合わせて帰るんです。男同士で徒党を組んで妻たちを騙している。そう思うと嫌な気分にもなったんですが、現実的にはアリバイがあるのはありがたい」

 葉子さんに不満があったわけではない。むしろ葉子さんは、母として妻として完璧だった。何時に帰っても起きてきて夜食を作ってくれる。朝もきちんと玄関まで送ってくれた。いつも笑顔を絶やさず、穏やかで「あなたのおかげで暮らしていける」と感謝の気持ちを言葉にした。

「完璧すぎるんですよ。僕のすべてを受け止め、受け入れる。だから僕は水商売で必死に売り上げを上げようとしている菜美に惹かれた。わがままなところもあるけど甘え上手で、僕がいないとダメなんじゃないかと思わせてくれる。僕にとっては40歳を前にして初めての恋だったのかもしれません」

 たとえバレても義父がかばってくれるだろうし、そもそも妻は気づこうとしないだろうとも思っていた。義母が義父の長年の浮気を見逃しているように。それが妻の家のやり方なのかとときおり不安と葛藤を感じながらも、「恋して浮かれる」日々を送っていた。

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