プルシェンコ氏の「大統領を信じています」発言 専門家はロシア人特有の反語の可能性を指摘

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 ロシアのアスリートは、自国のウクライナ侵攻に「NO!」の声を上げるのか──? この問題は世界中の関心を集めているようだ。

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 何しろロシアは、中国と並ぶ独裁国家だ。言論の自由は保障されていない。それどころか、反プーチンを訴えた言論人の暗殺疑惑や不審死などが明らかになっている。

 それでも勇気あるアスリートは存在する。例えば、Instagramで母国を批判したのではないかと話題になっているのが、フィギュアスケート女子で2018年の平昌五輪で銀メダルを獲得したエフゲニア・メドベージェワ(22)だ。

 日本でも多くのメディアが報じたが、ここではスポニチAnnexが3月6日に配信した「メドベージェワ インスタグラムで悲痛な思いつづる『もっと悪く、恐ろしく、耐えがたいものに…』」から引用させていただく。

《メドベージェワは空を写した画像とともに投稿し、ロシア語で「この1週間で、私は10年以上年を取ったように感じる。でも、そのように成長したくはない。私は、芸術の理想を追い求め、優しさを信じるただの女の子だし、いつも純真で楽しく過ごしてきた。そして、そうあり続けたいと思っている。朝、震える手で政治的なニュースを見るのではなく、TikTokの面白い動画を見て、ポジティブに1日を始めたい」とつづった。》

テニス選手も抗議

 メドベージェワは更に、

《「もっと悪く、恐ろしく、耐えがたいものになっていると理解をしています。毎日、私は自分の私の目標と夢を平和や相互尊重、犠牲なしで交渉する能力と交換したいと願っています」》

 とも投稿している。

 婉曲的な文章ではある。だが、世界中のメディアが彼女の投稿を「母国ロシアに対する精一杯の抗議」と受け止めたようだ。

 だが、より直截に母国を非難したアスリートもいる。スポーツ文化・育成&総合ニュースサイトを謳う「THE ANSWER」は3月2日、「ロシアのテニス選手、『私は恐れはない』と世界情勢に立場表明『戦争と暴力に反対』」との記事を配信した。

 女子テニス世界ランク14位で昨年の全仏オープンで準優勝したアナスタシア・パブリュチェンコワ(30)が、《母国のウクライナ侵攻に対する意見を述べた。米ヤフースポーツが報じている》と伝えたのだ。

《「小さな頃からテニスをしてきた。人生でいつもロシアを代表してきた。これが我が家で母国。しかし、私は完全な恐怖の中にいます。私の友人も家族もそうです。しかし、私は自分の立場を明確にすることに恐れはありません。私は戦争と暴力に反対します。個人的な野心や政治的な目標で暴力を正当化することはできない(後略)」》

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