プーチンがウクライナの原発制圧を進める「本当の狙い」 ザポリージャ原発の次に狙われるのは?

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 3月4日、ロシア軍はウクライナ南東部エネルゴダールにある世界で3番目、欧州最大のザポリージャ原子力発電所を戦車で砲撃、敷地脇の研修施設で火災が起きた。ウクライナ当局は、ロシア軍がこの原発を制圧したことを発表。IAEA(国際原子力機関)によれば、火災は収まり、重要施設は無事で放射線漏れなどは起きていない。破滅的な事態には至っていないものの、稼働中の原発を砲撃するとは、一体、プーチン大統領は何を考えているのか。(粟野仁雄/ジャーナリスト)

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 ウクライナのクレバ外相は、ロシアの砲撃を受けて「もし(原子炉が)爆発すればチェルノブイリ(事故)の10倍の規模になる」とツイートした。ウクライナの原発といえば、首都キエフ中心部から北方約100キロにあり、ソ連時代末期の1986年4月に核分裂反応の暴走で大爆発、壊滅的な事故を起こしたチェルノブイリ原発が知られている。現在は稼働しておらず巨大な石棺で覆う廃炉作業が進むこの原発も、2月24日、ウクライナの北側で隣接するベラルーシから侵攻したロシア軍が制圧した。

ウクライナの電力の5分の1を賄う

 京都大学原子炉実験所(現京都大学複合原子力科学研究所)の元助教今中哲二氏(71)は、チェルノブイリ原発の事故後、毎年のようにウクライナを訪れて研究を続けている。同所の小出裕章元助教らと「反原発」を掲げた「熊取6人衆」(2人は既に他界)の1人として知られ、退官後も研究員として活動する。

 ザポリージャ原発について、今中氏は「あの原発には行ったことはないが、キエフを流れるドニエプル川の下流にある原発で、旧ソ連が開発したVVERという加圧水型の原発です。構造は西欧型のPWR(加圧水型原子炉)に似ており、万が一に備えて、危険な時は自動的に運転が止まるシステムなどは日本の原発などと同じはずです」と話す。地震などの際、自動的に核燃料に制御棒が入って核分裂を止めるECCS(緊急炉心冷却システム)のことだ。VVERは、ウクライナなどの旧ソ連各国や、東欧で多く普及している。第一世代のVVER440(440万キロワット)は安全性などが指摘され、第三世代と言われるVVER-1000(百万キロワット)は改良され、安全性や経済性が高まったとされる。ザポリージャ原発の第1号機は、チェルノブイリ事故の前後に稼働を開始し、現在はVVER-1000が6基稼働、総電力は600万キロワット。ウクライナの電力の5分の1を賄う。

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