「ウクライナ侵攻」五輪直前の首脳会談でプーチン大統領から軍事作戦を聞かされていた習主席
消えた最高幹部
米ニューヨーク・タイムズ紙ほか複数のメディアが、バイデン政権の高官などの話として、「2月上旬、中国政府の高官がロシア側に対して、北京五輪が閉幕するまではウクライナに侵攻しないよう要請していた」と報じた。
北京五輪の閉幕は2月20日で、ロシアによるウクライナ侵攻は24日。状況的にはロシアが中国の要請を受け入れたことになる。
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加えてこの報道では、「プーチン大統領と習近平国家主席の首脳レベルで、こうしたやりとりがあったということではない」との指摘もあるようだが、日本政府関係者は次のように話す。
「中国共産党の最高意思決定機関である政治局の常務委員会は、習主席と李克強首相を含め7人で構成されています。彼らは五輪期間中、開閉会式を除き、ほぼ姿を見せることはありませんでした。これは五輪閉幕後にロシアによるウクライナ侵攻があり得ると想定して様々な分析を行っていたからだという情報があります。これを指示したのは、プーチン大統領から侵攻作戦を聞いた習主席だということでした。プーチン大統領から直接、作戦の中身を伝えられた指導者は、世界でも習主席だけでしょう」
ロシアからの一方的な愛
習主席がプーチン大統領から侵攻作戦を聞いたのは、2月4日に北京で行われた首脳会談においてだったという。
「プーチン大統領は、“ロシアとウクライナは、世界に冠たる国家となったキエフ大公国(9~13世紀)を起源とする、兄弟のような国家だ。宗教も含めて今日や昨日に始まった結びつきではないのに、NATO(北大西洋条約機構)が主導する地政学的な悪意あるゲームに翻弄されている”などと強い懸念を示したといいます」(同・政府関係者)
愛するウクライナがNATOに吸い寄せられるようにロシアから離れるのは看過し難く、半ばストーカーのように思いが募っていたようにも見える。あるいは、同胞意識の極みとも言えるだろうか。ひるがえってウクライナは帝政からソ連崩壊までロシアの支配を許したが、1991年の独立から30年が経過した現在、ロシアからの一方的な愛に居心地の悪さを感じていたのかもしれない。
「会談の席でプーチン大統領は、東方へ拡大を続けるNATOやアメリカのいわば傀儡(かいらい)政権化したウクライナへの敵がい心をむき出しにしていたそうです。“ロシアがいくら抗議してもNATOはこれを受け入れない。軍事作戦を展開せざるを得ないタイミングに差しかかっている”と習主席に訴えたようです」(同・政府関係者)
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