“犬の口輪”をはめて国会へ… ルーマニアの超過激「反ワクチン」議員の正体

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識者は「旧共産圏の負の遺産」を指摘

 ルーマニアの人権活動団体Active Watchのメディア監視部門代表、イオヌット・コドロヌ氏(40)は、ソソアカ氏の言動を「ルーマニアの危機」として警鐘を鳴らす。

「彼女は教育レベルが低い大衆に対して、分かりやすい単純明快なメッセージを発信しています。敬虔なルーマニア東欧キリスト教徒のため、貧困層のためを思って、派手な行動をしているように見えますが、本心は売名、ビジネスです。彼女がワクチンに対する世論を真っ二つに分けて、何が真実か分からなくなる混乱をこの国に起こしている。彼女の目的は、問題解決でなく注目だ。ナルシストとしか言いようがない」

 コドロヌ氏は、ルーマニアは約40年続いた共産主義の負の遺産が根深いと指摘する。経済と教育の格差が大きく、無料で簡単に手に入るSNSの情報を好んでしまう傾向があるという。医療に関しても、長期間にわたる共産主義の支配による医療関係者への低賃金が災いし、賄賂問題が続いていた。それゆえ、国民は医師に対して不信感があり、ワクチン接種を推奨されても信頼しないのだという。

 教育に関しても、大学進学率は約50%で、世界68位。地方に住む人々の大半は、高等教育を受けていない低所得者だ。科学や医学を忌み嫌い、古い歴史に根付いてきた土着のルーマニア正教を信仰する国民性……反ワクチンやワクチン陰謀説などを許容する土壌があるというのだ。ソソアカ氏が貧困層から熱烈な支持を受けていることからも、そのことはよく分かる。ソソアカ氏は民族アイデンディディを彷彿させるような衣装、国旗、そして十字架などを身に纏って議会などに登場することが多い。これも庶民の心を掴むための政治的戦略なのだろうか。

Facebookの圧倒的支持数は詐欺ビジネス?フォロワー数を東南アジア諸国から買収疑惑!?

 ソソアカ氏の人気を支えるのがFacebookだと触れたが、最近ある疑惑も浮上している。ルーマニアのメディアによると、2020年初旬からソソアカ氏は、インドネシア、ベトナム、南米からFacebookのフォロワー数や「いいね!」を買収しているのではないかというのだ。ダイアナ・ソソアカと検索すると15個のアカウントがヒットし、中にはソソアカ氏のFacebookアカウントとそっくりのものがある。東南アジア、南米在住の人物のアカウントが突然、ダイアナ・ソソアカの写真を掲載し始めているのだ。端から見れば乗っ取られたようにも思える。

 乗っ取られたFacebookアカウントを合計すると、約9万5000回の「いいね!」と23万人以上のフォロワーにもなる。ソソアカ氏のアカウント(約3万6000の「いいね!」と約7万4000人フォロワー)と比較すると3倍にも及び、その影響力を欲しいがために買収しているのでは、と現地メディアは指摘するのだ。コドロヌ氏が「ビジネス目的の政治活動」と言うのは、案外本当かもしれない。

2024年大統領選はもちろん立候補

 現在、イタリアのテレビ局取材班監禁事件と並行して、「フェイクニュース拡散によって政府のコロナ対策を妨害した罪」で、検察庁から起訴されているソソアカ氏。2024年のルーマニア大統領選に立候補するつもりで、「ルーマニアを救済するのは私しかいない」と意気揚々とした様子だという。Facebookや弁護士事務所のメールアドレスなどから取材申し込みを行っているが、現在までに返答はない。

瀬川牧子/ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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