「プーチンは最初から核兵器を使おうとする…」 元ラトビア大使が思い出すプーチンの“滅茶苦茶な理論”

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 世界中からの批判をよそに、核兵器使用の可能性まで口にしはじめたロシアのプーチン大統領。その真意はどこにあると見るべきか。

 2014年、ロシアがウクライナに侵攻した時期に、ロシアと国境を接するラトビアで大使を務めていた元外務官僚・多賀敏行氏(中京大学客員教授)が、当時を振り返りながら、プーチンの本質について寄稿してくれた。

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 プーチン大統領がまさかと思われたウクライナ侵略を始めました。更に核兵器を使用するかも知れないという不安が広がっています。

 私は、ラトビア大使時代(2012~2015)、ラトビア外務省のA局長(女性、ラトビアは女性の社会進出が進んでいます)と、懇意にしておりました。色々貴重な情報を教えて貰いました。

 2014年のプーチン大統領のウクライナのクリミア半島侵略、そして併合のあとロシアは戦略爆撃機に核兵器を搭載して、バルト海上空まで飛ばしてくるので、ラトビアとしては怖くて冷や冷やすると、なかば呆れながら、なかば怯えながら語っておりました。

 ロシアは通常兵器の面では、量でも質でも欧米に劣るので、それを量的に優る核兵器で補おうとする戦略をとっています。

 ラトビアのA局長は「我々西側の安全保障専門家の常識はまず通常兵器を使って戦い、劣勢に陥り、生き残るための最後の手段として、初めて核兵器の使用を考える。プーチンは最初から、核兵器を使ってこようとするので、危なっかしくて冷や冷やする、偶発事故だって起こりうるのに」と語っていました。

 今回のウクライナ侵攻でもプーチン大統領は核兵器の使用をほのめかしています。A局長の言葉から考えても、本気の可能性が高いと思われます。

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