国連に非加盟で台湾の有事はより深刻… それでもウクライナとは絶対的に違う点がある
プーチンが恐れているもの
制裁の本質は欧米へのお付き合いにあるのではなく、日本として力による一方的な現状変更を許さないという国家意思を示すことにある。ロシアに対して、侵略戦争を起こしたことへの代償を支払わせることが、あとに続く者を出さないためにも重要である。
いま必要なのは、この不法な戦争を一刻も早く終結させることである。同時に何がプーチンを駆り立てたのかについて、考えておく必要もあるだろう。
プーチンとは力の信奉者である。その彼が最も恐れているのがアメリカの軍事力といえよう。だからこそアメリカを中核とする北大西洋条約機構(NATO)に、ウクライナが加盟することについて、極度の警戒心を示してきた。モスクワはスウェーデンとフィンランドに対しても、NATOに加盟すればウクライナと同様の深刻な結果がもたらされると脅迫している。
それでも戦争に踏み切ったのは、力の空白が生まれているとプーチンが誤認したことが考えられる。2021年6月にスイス・ジュネーブで開催された米露首脳会談を始めとするバイデン大統領との直接対話や、バイデン大統領のアメリカ軍をウクライナに投入しないという発言から、プーチンが独自の解釈に基づく何らかの心証を得たのかもしれない。
アメリカ軍との直接衝突の可能性を回避しつつ、ウクライナを手中に収めることができると考えたプーチンにとっては、ソ連復活という野望を実現する機会の窓が、わずかながらも開いているようにみえたという可能性もある。コンドリーザ・ライス元国務長官も、ワルツを踊るような軽快な足取りでキエフに入れるとプーチンは考えていたとの見立てを示している。ライス氏は元来ロシア専門家であり、ブッシュ・ジュニア政権では国務長官を務めて、何度もプーチンと会談している。
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