ロシアのテレビで24時間流れる”捏造ジェノサイド” 若者たちは「消えるSNS」で抵抗

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メッセージが消える

 機能はLINEとほぼ同じだ。最大の違いは、メッセージを残す期間を1日などと任意で設定できること。その瞬間、双方からやりとりが消える。「いつ、誰が、誰と通信した」という運営者側が知り得る情報を当局から求められた場合でも、公開しない方針とされ、若者たちは、政権批判につながる話でも安心して情報交換できるのだ。

「LINEのようにグループチャット機能もあります。ロシアで行われている反戦デモの情報交換は、ほぼテレグラムが用いられています。時間と場所が指定され参加者は集まるものの、証拠が全部消えてしまうため当局は首謀者を立件しづらいのです」

 テレグラムにはFacebookのように、著名人が実名で主義主張を伝える公式チャンネルもある。侵攻が始まった直後の2月24日、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア国民に向け、「ロシア人は戦争を欲しているのか」と呼びかけた動画の投稿先としても使われた。

VPNアプリ

 14年のクリミア危機以降、情報統制を強めようとしたロシア政府は、テレグラムを含め多くのSNSを禁止した。だが、テレグラムはもともと規制するのが困難な設計になっていたためそのまま普及。結局、禁止する意味がなくなり、20年に当局は禁止を解除した。

 日本ではほとんど馴染みのないSNSだが、匿名性を悪用し、犯罪に利用されることもある。例えば、Twitterなどで「野菜(大麻の隠語)あります」などと違法薬物の売買を匂わせる宣伝文を掲載し、「後はテレグラムで」と誘導。売買のために交わしたやり取りを残さないようにするのだ。

 もう一つ、若者たちが外部の情報を得るために利用しているツールが、国外のサーバーを経由させる「VPNアプリ」。通信制限を受けているFacebookやTwitterも、実はこれを用いれば容易に閲覧できる。LINEは17年に禁止されたままだが、今回、駐在員に行った取材もVPNを介したLINE通話だった。つまり、ちょっとしたITの知識と真実を知ろうという意欲さえ持ち合わせていれば、プロパガンダに染まらずに済むのである。

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