ウクライナ侵攻で欧米が仕掛けた「金融戦争」 日本経済に与える計り知れないダメージとは

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輸入原材料の価格が急上昇

 今回、西側諸国が結束した経済制裁はかつてないほど強力だ。むろんそれゆえ反動も大きい。欧州ではロシアから得ていた天然ガスなどのエネルギーの供給が止まり、深刻なエネルギー不足が懸念されている。すでにガスや電気の急騰も始まっているという。日本もまた経済に大きな打撃を受けるのは必至だ。「金融戦争」による「返り血」はどれぐらい深刻なのか。経済ジャーナリストが説明する。

「世界経済は新型コロナウイルスの蔓延による経済的な打撃からようやく立ち直ってきたところでしたが、一気に足を引っ張られることになりそうです。

 もちろん日本経済にとっても他人事ではありません。四半世紀、成長してこなかった日本は、実質的な通貨安が進みました。ロシアがウクライナに侵攻する直前には、実質実効為替レート(総合的な通貨の実力をみる指標)が1972年の水準にまで低下したと報道されていました。つまり、日本の購買力は輸入品など値段が高くて手が出なかった50年前と同程度に落ちているということです。

 金融緩和から抜け出せない日本の円はウクライナ危機をきっかけに、さらに実質的に安くなり、高騰を続ける原油など輸入原材料の円建て価格は信じられないほど急上昇するかもしれません。仮にガソリン価格が1リットル=200円を大きく超えたり、電気代が2倍になったりすれば、多少の省エネではしのげず、私たちの家計を圧迫するようになります。輸入に依存している食品などの価格も上がり続けるでしょう。

 これからポスト・コロナに向けて経済回復が進むと期待されたタイミングでしたから、まさに『泣きっ面に蜂』の状況です。今後、実質的な消費は縮小し、景気は一気に減速することになるのではないでしょうか」

デイリー新潮編集部

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