「第6波の死者はコロナでなく細菌性肺炎が原因」 専門家が指摘、予防法は?

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誤嚥性肺炎のリスク

 しかし、いまはそれらもみなコロナ死とされている。オミクロン株に感染後、肺炎で亡くなる人も少なくないといわれるが、その内実は、以前と大きく異なっているのである。

「誤嚥性肺炎は細菌が肺に侵入して引き起こされる細菌性肺炎で、もともと口腔内や気道に定着している菌が、体力の低下などが原因で誤嚥を繰り返すと増えて活性化し、肺に入り込むことで発症します。一般的に、ウイルスに感染したのちに発症する細菌性肺炎のほとんどは、誤嚥性肺炎で間違いありません。オミクロン株は上気道、つまり鼻や喉のあたりに炎症を引き起こすので、嚥下(えんげ)機能が低下しやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まると考えていいでしょう。実際、臨床現場でCTを撮ると、第5波までは肺全体にGGOというすりガラス状の淡い影が出る、ウイルス性肺炎に特有の画像が見られましたが、現在は影のコントラストが強い、一般的な細菌性肺炎に近い画像が増えています」

要介護度が高い人は注意が必要

 寺本教授はそう説明するが、では、どういう人がこうした細菌性肺炎を起こすリスクが高いのか。

「70歳以上の高齢者がほとんどで、なかでも重症化リスクが高いのは85歳以上の方。そもそも肺炎で亡くなる方の大多数が85歳以上で、現在、コロナで亡くなる方の年齢分布が、その他の病気など一般的な死因で亡くなる場合のそれに近づいています。さらに言えば、特に気を付けるべきなのは、認知症を患っていたり、脳梗塞の後遺症があったりして、ベッドで寝ている時間が長い方。つまり要介護度が高い方です」

 これまでも冬場は風邪やインフルエンザをこじらせ、細菌性肺炎を発症して亡くなる高齢者は多かった。同じことが、オミクロン株が原因で起きているようだが、予防できるなら、しておきたい。寺本教授は、

「普段から口腔ケアを怠らないようにしたい。しかし、コロナに感染して高齢者施設から病院に移された場合、人手が足りず、それまで行われていた口腔ケアがなおざりになってしまうかもしれません。本人はもちろん、ご家族もその点に気をつける必要があります」

 とアドバイスする。

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