マウンドはプロ仕様、ラプソードも完備…プロも通う「野球専用ジム」が都心に誕生した理由
総工費は約1億円
最近、プロとアマの野球関係者の間でひそかに話題になっている施設がある。
その名も「外苑前野球ジム(仮)」。ヤクルトの本拠地、神宮球場の最寄り駅でもある東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩30秒という都心の一等地にある。施設名に「(仮)」がついているのは、球場のネーミングライツのように、今後スポンサーの名称がつくことを想定しているからだ。【西尾典文/野球ライター】
【写真7枚】総工費1億円で誕生「野球専用ジム」…現役プロ選手も通う充実の設備とは
「マウンドの土からかなりこだわって作っており、プロの球場と同じ仕様になっています。ボールの回転数などを計測する機器であるラプソードは合計6台。これはプロアマを通じて国内で最も多い数だと思います」
そう話すのはジムを運営する株式会社Knowhere(ノーウェア)の代表取締役を務める伊藤久史氏だ。
完全会員制(入会金3万3000円、一般の月額料金は2万7500円、いずれも税込)で入会すると、24時間365日利用可能になり、マウンドからのピッチングをはじめ、マシンを使ったバッティングや、器具を使ったトレーニングがいつでも可能だ。プロ仕様のマウンドと、最新の機器が揃う「野球専用のジム」というのは他でも例がないのではないか。ちなみに、開業にかかった総工費は約1億円だという。
幅広いレベルや年代の選手に
この野球専用ジムは、昨年12月1日にオープンした。筆者が取材に訪れたのは2月の下旬だったが、3カ月足らずで既に100人近い入会があったそうだ。1月に見学に訪れたユーザーは全員が入会している。
ジムを訪れている中には現役のプロ選手も少なくない。これまでにも高梨雄平(巨人)や福谷浩司(中日)、大貫晋一(DeNA)、国吉佑樹(ロッテ)、田中正義(ソフトバンク)などが自主トレ期間中に利用している。特に、福谷はその時の様子について、メディアプラットフォーム「note」で詳細にレポートをしている。
アメリカではシアトルにある「ドライブライン・ベースボール」という施設が有名で、大谷翔平(エンゼルス)や2020年のサイヤング賞投手であるバウアー(ドジャース)など多くのメジャー・リーガーも通うことで知られている。
しかし、伊藤氏が目指す“世界観”は「ドライブライン・ベースボール」とは異なるという。
「僕たちの施設は決してプロの選手だけを対象にしているわけではありません。会社のミッションとして掲げているものは『誰もがスポーツが上手くなれる環境を』であり、むしろ幅広いレベルや年代の選手に利用してもらいたいと思っています。実際に入会していただいているのは、小中学生や草野球でプレーしている一般の方も多いです」
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