日本で最も有名なウクライナ人「ボグダンさん」が流暢な日本語でキエフからレポートを続ける理由
母親の家に避難
現在、ボグダンさんは住んでいたマンションを離れ、母親の家に弟たちと共に身を寄せているという。
「母親の家があるのは、日本でいう永田町のようなところで、キエフの中心地です。ここにロシア軍が攻め込んできたら、その時はウクライナが陥落する時でしょう。築120年を超す古い家ですが、壁が厚く、2度の大戦を乗り越えたほど丈夫な造りなので、今はこの家で家族と共に過ごしています」
祖母も近くに住んでおり、家族で無事を確かめ合いながら協力して過ごしている。
「今のところライフラインは止まっておらず、こうやって水を飲みながら取材を受けることもできます。もともとウクライナは日本よりもデリバリーサービスが浸透していて、アプリで注文を済ませた商品を店舗で受け取るのが主流でした。戦争が始まるとなった時、急いで色々と注文しましたが、道路が破壊されたり、物流のトラックが武器を運ぶために使われてしまったようで、荷物は届きませんでした。私の住んでいた家には備蓄が多くなく、若い弟たちはなおさら何も準備できていなかったので、みんなで母親の家に身を寄せています」
第2の都市「ハリコフ」、航空機「ムリア」への攻撃
日本からの取材対応に追われる一方で、ロシア軍の攻撃に心を痛める日々だ。
「(3月)1日にロシア軍によって爆破されたハリコフ市庁舎や、その前の広場は本当に美しいところでした。ハリコフはウクライナ第2の都市で、活気に溢れる良い街なんです。大学が多いので若者が多く、クリエイティブで楽しいところで、友人も住んでいます。そんな街が今もロシア軍によって破壊されていることに本当に心が痛みます」
一方で、ロシア軍の攻撃からは焦りが見えるとボグダンさんは言う。
「世界最大の航空機『ムリア』も(2月)24日、ロシア軍によって破壊されました。『ムリア』はウクライナ語で『夢』という意味で、我々ウクライナ人の誇りでもありました。ロシア軍はウクライナ国民の心を砕くために、嫌がらせのような攻撃を続けているのでしょう。こういった分かりやすい攻撃をするのは、ロシア軍に計画的に侵攻する余裕が無いからだと感じます。ロシアが今の規模の攻撃を続けた場合、10日間で予算が尽きるとの試算もあるので、あと数日したら事態は良くなるのではないかと思っています」
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