日本で最も有名なウクライナ人「ボグダンさん」が流暢な日本語でキエフからレポートを続ける理由
キエフ在住のパルホメンコ・ボグダンさん(35)は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化すると、連日、日本のメディアに出演し、流暢な日本語で現地の様子をリポートしている。自身の生活が脅かされる中、メディアで発信を続ける理由は何なのだろうか。
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【写真】リアルタイムで被害の様子をSNSに綴るボグダンさん。日本語で発信を続ける
3月2日、この日も朝の情報番組の出演を終えたばかりだというボグダンさんが取材に応じてくれた。
「日本の方から『ウクライナに募金しました』といったメッセージがたくさん来ます。僕がテレビに出ることが少しでもウクライナの役に立てばと思い、出演を続けています」
ボグダンさんはこれまで、メディアに出演した経験は無かった。ロシアの軍事侵攻の可能性が高まった頃に、急きょ日本からの取材の窓口を設けたという。
「ロシアには日本のメディアの駐在員がたくさんいますが、ウクライナにはいません。このままではロシア側の情報ばかりが報道されてしまうという危機感を持ったので、自分がメディアに出て、ウクライナの現状を日本に伝えようと思いました」
日本時間に合わせて取材対応
市街地への攻撃も強まる中、ボグダンさんは首都キエフで取材に対応している。
「警報が出た時には防空シェルターに避難していますが、一日中シェルターで壁を見つめていてもどうしようもないと思うんです。それなら、多少安全が脅かされるとしても、インターネットが使えるところに出てきて、メディアに向けて発信したり、情報を集めたりしたほうが気が紛れる。日本のメディアの方とやりとりすることで、少し自分の気持ちが楽になるところもあります」
とはいえ、かなり過密なスケジュールで取材をこなしている。
「日本とウクライナの時差は7時間です。日本時間の6時30分から24時までの間の取材には、基本的に全て対応しようとしています。それ以外の時間で、お風呂に入ったり眠ったりしています。ここ数日は特に1人でこなすのは大変な数になってきたので、取材対応をシステム化し、弟と弟の彼女や母にも手伝ってもらっています。同じように彼らに手伝ってもらいつつ、SNSでの発信も続けています。ロシア軍から新たな攻撃があった時も、海外のメディアでそれが報道されるまでは半日程度のタイムラグがあるので、TwitterやInstagramを使ってできるだけリアルタイムで発信をしたいと思っています」
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