ウクライナ侵攻で世界各国の諜報機関がSNSに齧り付いている…「こたつCIA」の驚くべき実情
トヨタ戦争
「トヨタ戦争」という呼称をご存知だろうか。1978年から87年にかけてアフリカで起きた、「チャド・リビア紛争」の後期の戦闘を指す表現だ。
アフリカ大陸中央部に位置するチャドは1960年に独立。しかし、独立後も民族対立が続き、同国の北に位置するリビアと旧宗主国のフランスを巻き込んだ紛争に発展した。その際、両軍共にトヨタのピックアップトラックを改造した車輌を使用。そのためトヨタ戦争と名づけられたのだ。
「中東諸国はトヨタの乗用車は立派な兵器だと認識しました。2000年代に起きたシリア内戦やイスラム国(ISIL)樹立を宣言したテロ組織のISISも、同じようにトヨタのピックアップトラックを兵器として活用しました。戦車は運転も整備も専門知識が必要ですが、トヨタの車なら自動車の運転経験がある人なら誰でも操作できます。更に、整備も戦車より容易です。おまけにトヨタの車は滅多なことでは故障しません。これほど役に立つ兵器は、そうはないのです」(前出の記者)
ネットが変えた戦争
トヨタのピックアップトラックが戦争の歴史を変えたように、今回のウクライナ侵攻では、インターネットが戦史に新たな1ページを書き加えたと言えるだろう。
「例えば2月17日、ロシア軍の戦車が貨物列車で輸送される動画がYouTubeに投稿されました(註2)。古今東西、軍隊の移動には鉄道が大きな役割を果たしており、一般国民が目にする機会もありました。ただし、昔であれば目撃されたとしても、それを遠方へ伝える手段は電話や電報といったものに限られていました」(前出の自衛隊関係者)
まして戦乱下では貴重な情報が他国どころか自国の中枢にすら届かないことも普通だった。
「ところが、今やスマートフォンとインターネットがあれば、一般市民がウクライナ国内どころか、全世界にロシア軍の動きを伝えることができるのです」(同・自衛隊関係者)
インターネットは戦乱に強いメディアであり、「核戦争にも耐えられる通信ネットワークとして誕生した」と解説されることがある。
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