神戸山口組「井上組長」が語った噂話への回答と超大国・6代目山口組に睨まれた組織としての対抗戦略

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使者が来たことはない

 2021年末時点での構成員数は、神戸山口組(以下、神戸)が約500人に対して6代目山口組(以下、6代目)は約4000人で、すでに「カタがついた」という声が圧倒的だ。そんな中、元山口組系「義竜会」会長で暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」主宰の竹垣悟氏は最近、神戸山口組の井上邦雄組長と話したという。昨年末に続く電話での会話を通じ、井上組長が伝えたかったメッセージとは?

「昨年末と同様に、共通の知人を通じて“話したい”との申し出がありました。若い衆と鍋をつついていた後の電話だったようですが、とても元気そうな印象でしたね。巷で取りざたされている噂話について井上組長自身、ある程度ただしておきたいという思いがあって、アプローチがあったのだと感じました」

 と、竹垣氏は明かす。具体的にはどういうことなのか。

「第1に、生命や財産の保証があれば組を解散してカタギになるという使者やメッセージのようなものが6代目側から来たことはないし、もとよりそのような考えは持っていないということでした」(同)

「たとえ自分1人になっても」は真実?

 その一方で、井上組長は「たとえ自分1人になっても組は解散しない」と言っているとも取り沙汰されてきたわけだが、この点について竹垣氏はこう話す。

「それはその通りのようですね。第1次頂上作戦の最中、山口組内でも解散論が浮上する中、田岡一雄3代目は“たとえわし1人になっても山口組は解散しない”と発言したとされています。その田岡3代目が銃撃されたベラミ事件で、敵対組織への報復(カエシ)や抗争の末、長い懲役に行ったのが井上組長でした。レベルや置かれた状況は違いますが、山口組中興の祖と言われ、井上組長にとって神様のような存在である田岡3代目に自身の思いを重ねているのかもしれません」

 さらに白旗を上げてカタギになることのデメリットについても、こう付け加える。

「たとえば、井上組長が所属した健竜会を立ち上げ、2代目山健組の組長だった渡辺芳則5代目の場合、引退してカタギとして暮らす晩年は寂しいものだったと言われています。その他、みじめな最期を迎えた親分連中をたくさん見てくる中で、”生涯現役”がベストだと井上組長は感じているのでしょう。噂話や根拠のない情報が先行するのは6代目側の情報操作の結果であり、真実を伝えてもらいたいとの思いがあったようです」(同)

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