#野田聖子ブロック祭りの顛末 子育て世代猛反発で問われる覚悟
ツイッター上に妙なスレッドが乱立した。昨年の自民党総裁選に名乗りを上げた、あの女性議員を巡るものである。
#野田聖子ブロック祭り
#野田聖子が国民の声をブロック
#野田聖子ブロック大臣
#野田聖子ブロックチャレンジ
一体、何ごとなのか。【中西美穂/ジャーナリスト】
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調べてみると、ことの発端は、少子化担当相をつとめる衆院議員・野田聖子氏による1月28日付のツイッターでのコメントにあった。
〈こども家庭庁では、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げており、子ども・若者総合相談センターの設置促進と機能強化、NPO等と連携した学習支援の場をはじめとする居場所づくりに対する支援の拡充に取り組んでいくことを答弁させていただきました〉
子を持つすべての世帯に向けた、誰一人取り残すことのない支援を――。野田氏のこの表明を見た“子育て世帯”は敏感に反応した。上記コメントをリツイートし、児童手当や高校無償化における「所得制限の撤廃」を求めて声を上げたのだ。
昨年の総選挙では、公明党がコロナ禍における子育て世帯への支援策として「18歳以下1人あたり10万円の支給」を公約に掲げた。ところが、選挙後の与党間の話し合いで、世帯主年収が960万円を超える家庭は支給の対象外とする「所得制限」が設けられた。
これにより子育て世帯の1割と、子ども200万人が「切り捨てられた」形となった。多子家庭だろうと障害児を抱える家だろうと、「世帯主年収」が960万円以上なら支援はない。一方、たとえば夫の年収が700万円で、妻の年収が500万円の「世帯年収」1200万円の家庭は支援を受けられる。かくも穴と矛盾だらけの決定だった。
これ以外にも、国の子育て支援策には様々な所得制限があり、今年10月からの児童手当法改正では、世帯主が年収1200万円以上の家庭は月額5000円の児童手当が受け取れなくなる。子育て世帯はこのような措置が相次ぐ状況下、野田氏に対して自ら言明した「抜け落ちることのない支援」の実行を求めて声を上げたのである。
ところが、何を思ったのか、そうした声を野田氏が一方的にブロックし始めた。「国民の声をブロックする大臣」。ネット界に困惑と批判がうずまいたのも無理はない。
河野太郎氏に「私は決してブロックしない」と言いながら…
そもそも野田氏は、昨年の総裁選の際に出演した番組で、河野太郎候補が自身と意見の合わない相手をツイッター上でブロックしていることを受け、以下の発言をしている。
「SNS上で私が河野さんに勝っているのは、私は決してブロックはしない(ことだ)。どんな嫌なことも受け止めて返せるように努めている」
育児や障害児施策に力を入れている兵庫県明石市の泉房穂市長のもとには、野田氏からブロックされたことに関する疑問の声が多く寄せられたという。
泉氏はツイッターで、こう綴った。
〈所得制限撤廃を訴えただけで「ブロック」されたとの驚きと悲しみの声が、次々と寄せられている。もしそうなら、公約違反だし、大臣失格だ。子育て層の生の声をブロックしていて、「少子化担当大臣」が務まるわけがない。何かの間違いだと思いたい〉
〈野田聖子少子化担当大臣ご本人ではなく、スタッフが勘違いでブロックしていると思いたいです。親の経済的事情などで分断することなく、社会全体で「すべての子ども」を「等しく」応援することが、少子化対策のポイントだと思っています(明石市で証明済)。どの「子ども」も「子ども」ですから〉
私は当初、この件で野田氏の事務所に確認を行っている。事務所は、ブロックの事実は認めながら、「秘書の判断で」という定型的な釈明を加えた。
私が直接取材した泉氏は、これに関してツイッターで再び訴えた。
〈「秘書の判断」でブロックしたなら、「大臣本人の判断」で、そのブロックを解除していただきたい〉
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