「年齢のことを気にしていた自分が恥ずかしい」 女優・中江有里が振り返る30代での大学挑戦

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「年齢のことを気にしている自分がとても恥ずかしくなった」

 さらに、年齢は関係ないということも学びました。35歳で大学に入学した私には当初、「高校を卒業してそのまま大学生になった現役世代とは違う」と引け目を感じているところがあったんです。でも周りを見てみると、高校を出たばかりの18歳の現役世代ばかりでなく、私より倍以上年上の70代、80代の方まで大学に通っていました。リタイアして地方在住なんだけれど、お子さんが東京にいるのでそこに滞在しながら学び直しのためにキャンパスに通っているなんて人も。

 そういう人たちを見ていると、現役世代じゃないとか、年齢のことを気にしている自分がとても恥ずかしくなって……。目的や夢を持って大学に通っているという点においては、年齢なんて全く関係ないんですよね。

 結局は、どうしても学び直したいことがあるかどうかが大事だと思います。大して学びたいことがないのに漠然と大学に通ったところで続かないし、そもそも無理に学び直す必要もない。

 私は、大学で学び直しをしていることを公にしませんでした。好きでひとり山を登っているだけ。達成感、充実感は自己満足です。学び続けられるのか、本当に卒業できるのか――。突き詰めればやはり自分との闘いでしかない。

 卒業式の写真(掲載の写真参照)だけはSNSにアップしました。4年かけて登った登頂記念に旗を掲げたようなものです。

中江有里(なかえゆり)
女優・作家。1973年生まれ。15歳で芸能界入りし、2002年にラジオドラマの脚本家、また06年には小説家としてデビューを果たす。21年、政府の「安定的な皇位継承策などを検討する有識者会議」のメンバーに。

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

特別読物「人生100年時代で著名人も実践 社会人になってからの『学び直し』」より

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