維新にすり寄る医療グループに「疑惑の市有地取引」 吉村市長時代に事業者が決定

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デベロッパー外し

 前述の通り、大阪市はプロポーザル方式で事業者選定を実施。一定の開発条件の縛りを付けた上で事業者を公募した結果、応札したのは医誠会を含む共同企業体のみであった。購入価格は80億円である。

「医誠会の提案内容は朝日放送ABCセンターで計画していたものとほぼ同様の内容で、“賑わいづくり”が市の開発条件に入っているため、劇場などの文化施設が併設されることになっています」(同)

 大阪中心部の一等地の売却。にもかかわらず手を挙げたのが医誠会らだけだったのは何故なのか。

「大阪市は入札の3年前に市場調査を実施し、大手デベロッパーなどから開発ニーズを聴取しています。そこでは高層マンションなどの住居系施設を核とした要望が多数寄せられたのですが、実際の公募で市側は土地活用条件として『住居の用に供することは不可』と縛りをかけた。そのため意図的な『デベロッパー外し』ではないか、と疑う声が上がっています」(同)

 地元医療界が新病院建設に強硬に反対してきたのは、こうした「不透明さ」だけが理由ではない。

「我々が何より驚いたのは、医誠会が当初、新病院の560床全てを高度急性期病床にしようと計画していたことでした」(大阪府医師会関係者)

「反対の声が巻き起こるのは当然」

 現在、日本の病院の病床は「高度急性期・急性期・回復期・慢性期」の四つに分けられ、このうち、高度急性期病床と急性期病床は全国的に過剰状態にある。そうした事態などを是正するために政府が14年に制度化したのが、「地域医療構想」。地域ごとに4種の病床数を集計し、将来の推計人口などと照らし合わせながら病床の削減や機能転換を行う、という取り組みである。

「病院経営の観点から考えると、どの病院も高度急性期病床や急性期病床を減らしたくはない。この二つのほうが他の病床より診療報酬が多くつくからです」

 大阪医療界関係者(前出)はそう語る。

「しかし、北区では高度急性期病床と急性期病床が過剰状態にあり、逆に回復期病床や慢性期病床が足らない。そこで北区の各病院が集まって話し合い、病床のダウンサイジングや回復期・慢性期への転換を行っていました。そんな中、高度急性期病床を大量に持つ病院を新設する、となれば反対の声が巻き起こるのは当然のことです」

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