冬ドラマ総括 「ゴシップ」はユルすぎでNo.1の「言う勿れ」は? “数字は嘘をつかない。割と”の「DCU」
わざと下手な脚本に?
林:同じユルドラ、同じご贔屓主演物件でも、「DCU」は「ゴシップ」と違って数字だけはいいでしょ。「あ~、アベカンに傷がつく~」なんて心配はしなくていいから気楽にドラマを嗤えるのよ。
アナ:ユルドラ、底抜けのポンコツとのことですが、たとえばどのあたりが……
林:あのドラマのどこがポンコツか、具体例はいちいちあげつらいません。皆さん、ネットで検索してください。ご飯にかければ丼3杯喰えるくらい見つかるから。
アナ:またそれですか。本日3度目……。
林:じゃ、敢えてひとつだけ挙げるなら、脚本。人物造形は揺れるわ、ストーリー展開は杜撰だわで、それこそ芸術学校の映像コースの新入生オリエンテーションで駄目の見本に使えるような駄目さ。骨なしの脚本に「半沢直樹」系の骨太芝居、骨太演出が乗っかると、そりゃドラマとしちゃ潰れますわな。
アナ:キャラクターや物語には私も引っかかることが多いですね。
林:主人公のアベカンを慕って海保に入り、アベカンの引きでDCUのメンバーになったっていう横浜流星が、第1話の終わりで唐突かつ安直にアベカンと対立……したのかと思ったら、第2話では説明もなしにときおり素直にアベカンの指示に従ってみたり。最初は芝居の上手くない横浜を救ってやるための「泣いた赤鬼」作戦かなとも思ったんだけれど……
アナ:「泣いた赤鬼」作戦?
獲ったど~!
林:下手な脚本が青鬼役になって批判を集め、赤鬼役の横浜に「芝居が下手に見えるのは脚本のせい」という同情を集める作戦ですよ。でも、あの脚本の下手さの根っこにはいかなる作戦も戦略も戦術もなく、ただ単に下手なことは、すぐにわかった。終盤の緊迫感を盛り上げるための要素、たとえば台風襲来だの犯人出国だのに向けての伏線の張り方がおざなりだったり、潜水チームが乗り込む現地の地元警察は馬鹿かワルかその両方かだったり。
アナ:私も見ていて同じように感じましたし、そういう批判も出始めていますね、視聴率はいいのに脚本が……という。
林:主人公であるはずのDCUも、アベカン以外は全員アベカンの引き立て役。それが証拠に、遺体やら証拠やらが沈んでる水域をグリッドに区切って1区画ずつメンバーが潜って探す展開になって、もちろんなかなか発見できず、さぁ困った……となったら最後に潜ってビンゴを引き当てるのがアベカン。そういうシーンに出くわすとワタシゃ口に出さずにはいられないのよ、「獲ったど~!」って。
アナ:まさにコントです。
林:もっとも、制作側も笑われるんじゃなく笑わせることも狙ってるのかなと思う瞬間がたまにあって、またおかしいのよ。アベカンが訓練プールに潜ったり詰め所の狭い浴槽に浸かったりするシーンが無駄に多くて、そのたびにコッチは「ああ、この後、水の中、渦の中に引き込まれて、なんとか無事に水面に浮上すると、そこはローマのテルマエだぞ」とほくそ笑まざるをえない。「DCU」っていうドラマへの没入には邪魔にしかならない要素だけれど。
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