マクドナルドは例外…飲食業界で繰り広げられるフライドポテト争奪戦 囁かれる“7月危機説”
モスは販売見合わせ
マクドナルドほどの巨大資本ともなれば、農場から工場、工場から港という陸路の物流は全く滞っていない。
そして前述の通り、バンクーバー港でトラブルが発生すると、船便から航空便に切り替えた。船便に比べると、航空便の運賃は15倍もするという。他社であれば、とても負担できないコストだろう。
一方、モスバーガーを展開するモスフードサービスは2月9日、全国の店舗で「フレンチフライポテト」の販売を一時見合わせると発表した。
毎日新聞が記事を配信すると、こちらもYAHOO!ニュースのトピックスに掲載された。やはり世界的な物流停滞が原因であり、販売の再開は3月中旬を見込んでいるという。
テレ朝NEWSは2月18日、「ロイヤルホスト フライドポテトの販売 一時休止へ」との記事を配信した。ロイヤルホストの場合、販売の再開時期は「未定」だという。
これらのニュースからも、フライドポテトの争奪戦が熾烈なものになっていることがよく分かる。
「北米産のフライドポテトが手に入らないため、最近はヨーロッパ産の需要も伸びています。こちらは小さくて黄色に近い色をしているので、従来は人気がありませんでした。贅沢を言っていられないので注文するわけですが、入荷が遅れているのは北米産と変わりません。ヨーロッパ産フライドポテトでも争奪戦が起きているのです」(同・専門家)
港湾ストの可能性も
トラック運転手や港湾労働者だけでなく、意外なことにコンテナの絶対数も足りていないという。
「世界中で使われているコンテナの90パーセント以上が、中国で作られています。ところが、コロナ禍で物流が止まったり、コンテナを作る工場が操業停止になったりしたため、コンテナの新規製造が減少してしまったのです。オミクロン株が猛威を振るっているとはいえ、今は世界中の国が経済を回そうと方針を転換しました。急激にモノが動き出したのに、それを運ぶコンテナも足りないのです」(同・専門家)
更に今年2022年は、もともと物流関係者にとっては頭の痛い年だという。
「アメリカ西海岸の港湾労働組合は6年に1回、労働契約を更新します。今年はその更新年に当たっているのです。2002年には労使の交渉が決裂し、実に20を超える港が閉鎖されました。2014年はストには至りませんでしたが、故意に作業量を減らす“スローダウン戦術”が採られ、物流が大きな打撃を受けました」(同・専門家)
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