野口健の娘の「野口絵子」、留学先の寮生活で苦悩した人間関係を明かす

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寮は「苦手だから関わらない!」が通用しない

 アルピニストの野口健氏を父に持ち、TBS「日立 世界ふしぎ発見!」などの番組で豊かな表情を見せる現役高校生の野口絵子さん。ニュージーランドに留学中の彼女があるときぶつかったのは、「友情」にまつわる問いだった――。

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「自分が嫌いな人と一緒にいないといけない時、あなたはどうしますか?」

 私は、ニュージーランドに2年前から留学している。先月、IELTSの試験を受けた。IELTSには、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング4技能のテストがあるが、スピーキングの質問がとても難しかった。英語が理解できないわけではなく、質問内容について、とても考えさせられたからだ。テーマは、「自分が苦手な人との付き合い方、それから友情と信頼関係の違い」だった。先の質問はその時にされた質問だ。

 友情とは敏感で複雑な存在だ。私は寮生活を5年以上している。中学校3年間は、イギリスの学校で寮生活をし、今、ニュージーランドの全寮制の高校に通っている。寮での友情関係は他の学校でのそれとは違う。自分が苦手な人とも好きな人とも、24時間の共同生活をする。「苦手だから関わらない!」が通用しない場所なのだ。

 自分と性格が合わない子との付き合い方で悩んだことがある。自分の気持ちに嘘をついて仲良くすれば自分にストレスが溜まる、逆にその子を避ければ相手を傷つけてしまう。中学校当時の担任の先生に相談をしたら、仲良くする必要はないけれど、思いやりの気持ちを捨ててはいけないと教わった。ニュージーランドでも友情関係に悩んだ。入学当初に仲良くしてくれた現地の子。けれど、数日後に彼女が私の悪口を言っていたことを知ってしまった。他にも去年まですっごく仲良くしていたのに、なぜか今では目も合わせなくなってしまった子もいる。

親友との3年間

 人間関係って離れたりくっついたりするものだ。懸命に生きていた花も嵐が来たら折れてしまう。友情は、ちょっとしたことで壊れる。だけど、支柱を立てたらどうだろう。嵐が来ても幹が折れないように支えてくれる。それが、親友だと私は思う。

 中学校生活の中で、3年間一緒に過ごした親友がいる。彼女は一見おとなしそうだけど、とてもしっかりした意見を持っていた。寮の消灯後に真っ暗な部屋で夜中まで、政治や社会問題、将来について語り合った。すごく楽しい時間だった。自分が折れそうになったら、彼女が私を支える。枯れそうになれば水をあげる。信頼関係があるからこそ自分のダメなところも曝け出せる。彼女の前では見栄を張らない。居心地がいい。人と会うときに、沈黙があると気まずくなり、何か話さないと、と沈黙を避けようとする。けれど、彼女といると沈黙していても気にしない。その時間も心地よいと感じる。家族と過ごしているときに常に何か話さないといけないとは思わないように。

 私がニュージーランドに来てからは、メールだけでなく、手書きの手紙を送りあっている。それを読んでいると、まるで本人と話しているみたいでクスッと笑えてくる。

 親友との関係性は家族と似ている。お互いがお互いの幹を太くし、綺麗な花を咲かせている。たくさん友達がいなくても、そんな親友が一人でもいることを私は誇りに思っている。

野口絵子(のぐち・えこ)
2004年東京生れ。登山家・野口健を父に持つ。「日立 世界ふしぎ発見!」(TBSテレビ)にレポーターとして複数回出演。

デイリー新潮編集部

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