腸活に最適な「米のとぎ汁漬け」とは? 乳酸菌が免疫力アップに貢献

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腸活に最適な食べ物

 低い温度でゆっくりと発酵させることで、カットした野菜をフレッシュなまま保存できるため、料理へのアレンジが可能だ。調理の際は容器から出して、和える、炒める、蒸す、煮るなど、その都度野菜を下ごしらえする必要がないので、時短にもなる。

 漬ける際も、ほかの漬物のように、保存容器を乾燥させ消毒する必要はなく、洗った野菜の水気を切る手間も省ける。ズボラな人間でも簡単にできてしまう漬物なのだ。

 これを長く漬けていると、乳酸発酵が進み、野菜が糠漬けに似た味に変化する。糠漬けだと、多くの乳酸菌を含んだ糠を洗い落としてしまうが、米のとぎ汁漬けは、漬け汁が染み込んだものを食べるので、たっぷりの乳酸菌と食物繊維が大腸に届くこととなる。多量な食物繊維が腸内細菌の餌となるため、「米のとぎ汁漬け」は腸活に最適な食べ物といえる。

刻んでトッピングにも

 野菜によって乳酸菌の種類が違うので、発酵速度に違いが出る。味も、なかなか変わらないものもあれば、早く酸味が出るものも。数カ月漬けても腐るわけではないが、表面に産膜酵母という白カビのような膜が張ったり(無害だが味が落ちる)、変色したりすることがあるため、2週間以内に食べ切るのが理想だ。

 料理へのアレンジを考えた際、最も栄養バランスが良く、汎用性が高いのが、キャベツ、にんじん、玉ねぎを重ねて漬ける「基本の米のとぎ汁漬け」だ。

 薬味を漬けるのも便利でいい。生姜、生わさび、にんにくなどは丸ごと漬けておき、必要な分量だけすりおろし、残りを漬け汁に戻せば、使い切れずに傷めることがなくなる。

 ねぎ、エシャロット、玉ねぎ、山芋なども刻んで漬けておけば、そのままトッピングに使える。

 残った漬け汁は乳酸菌の宝庫。再び野菜を入れれば早く漬かるし、毎日お猪口(ちょこ)1杯飲めば体調が良くなる。

 他にもさまざまな料理に応用可能なので、興味のある方は拙著『免疫力を高める 最強の浅漬け』(マキノ出版)を参考にしていただければありがたい。

車 浮代( くるまうきよ)
江戸料理・文化研究家、時代小説家。大阪府出身。アートディレクター、グラフィックデザイナーとして勤務後、故・新藤兼人監督に師事し、シナリオを学ぶ。現在は江戸時代の料理の研究と再現、江戸文化に関する講演の他、テレビやラジオにも出演。著書多数。

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

特別読物「江戸庶民の“食の知恵” 『米のとぎ汁漬け』で免疫力大増強」より

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